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2025年03月16日15:58

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吉田正自選最高傑作「再会」松尾和子とカバー

 フランク永井の盟友松尾和子は、昭和歌謡界でムード歌謡の女王と言われました。赤坂の力道山が所有する「クラブ・リキ」で歌っているのを聴いて、恩師吉田正を連れてきて紹介したことは有名なエピソードです。松尾の歌唱を吉田正が認め、1959(S34)にデビューしました。当時大人気の和田弘とマヒナスターズと松尾が歌う「グッド・ナイト」です。B面はフランク永井との大ヒット作品「東京ナイト・クラブ」です。
 何と豪華なデビューでしょう。ただ、松尾和子は人気が継続したということではありません。当時フランク永井はこの年だけで、シングル盤を37枚、アルバムを6枚も出しています。今では想像もつかないラッシュはフランク永井だけではなく、当時の人気歌手は同じような状況でした。松尾は次がなかなか続きません。
 このような中で、吉田正と佐伯孝夫の黄金コンビは考え抜きます。そして作ったのが「再会」です。これは大ヒットしました。当然松尾の「誰よりも君を愛す」と並ぶ代表曲です。吉田正は松尾をフランク永井と並ぶ都会派ムード歌謡の歌手として松尾に情熱を注ぎます。
 「再会」は罪を犯し獄にはいった恋人が刑期を終えて出てくる。再会できるという愛をささげる女の情念を描いたものです。松尾は彼女のもつ声の特質を最大限に活かした「あぁ」という箇所にため息を絡ませて、大人の女の情愛感情を出しています。これは、当時年少者の男の子には女性への一線を超えた感情を促すものとして、社会的な批判もでたほどです。何か戦中の「…勝つまでは」と重なるような風潮です。
 松尾はこの歌唱法を自分の個性的な特徴としてその後も使っていきます。それが大人には、どうせ演出なんだからとやかくいうのは無粋として受け入れて、松尾を支えます。たしかに、後年、ため息の女王とか、色気が漂うという評価で定着します。
 さて「再会」は確かドラマ、映画にもなりました。二度目のドジョウをめざして「再会の朝」というのも作られました。このテーマは、1977年に「幸せの黄色いハンカチ」という映画と重なります。高倉健、倍賞千恵子主演山田洋二監督の傑作です。この映画は1971年に米国に掲載されたコラムが元になっています。
 フランクと松尾二人の恩師吉田正は「再会」を自分が作ったなかで最高のものと言っています。それだけ完成していた曲なのですね。聴く人にテーマを頭の中で無理なくイメージとして想起させます。フランク永井は1969年のアルバム「誰よりも君を愛す〜吉田メロディーを唄う」の中でカバーしています。
 「再会」のカバーは同じ低音歌手で俳優で人気歌手の石原裕次郎もカバーしています。裕次郎はこの曲に促されて「再会の夜」という曲を新たに歌っています。いい作品は、このように次々と広がってくんですね。
 吉田正は後年に、フランク永井も松尾和子も亡くなり、創作意欲が大きく減退したことを漏らしていました。そして彼らに変わるあらたな歌手の発掘に取り組んだことも知られています。過去にもこのブログで書きましたが、残念なことに男性歌手の後継者は見つかりませんでした。だが、松尾和子の後継についてはビクター内から真奈尚子の名があがりました。
 真奈尚子については多くは知りえてませんが、歌唱は実にしっかりしています。松尾の「誰よりも君を愛す」「再会」の歌唱を聴きましたが、たいへんいい作品になっています。歌はよくできているのですが、それをとびぬける個性が出ていないような気がします。超一流を求めるのは求めるほうに無理があるのは承知なのですが、昭和歌謡のファンとしては、それでも求めてしまいます。都はるみのうなり、一小節ごとに表現を使い分けるひばり、一声聴けば、すぐに誰だと分かるような強い癖が欲しいのです。
 今年に入ってからの歌番組といっても、正月の特集で、過去の放送した番組からのいいとこどりシーンでしたが、「再会」を都はるみと由紀さおりが歌うのがありました。由紀が歌うのは想像がつきますが、都はるみの「再会」歌唱は良かったです。丁寧に見事に歌い上げていました。
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