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2024年09月30日16:23

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フランク永井が歌えば結局それは「ムード歌謡」。出ているCD-BOXいろいろ

 日本の流行歌、歌謡曲の世界で「ムード歌謡」のくくりはいったい何なのか、ということについて、以前にも何回か取り上げてみました。さまざまな見解が多すぎて、曖昧過ぎて、良く分からないというのが、これまでの結果でした。
 現在中古も含めて入手可能なCD(CD-BOXを含めて)を一覧してみることにしました。その曲を眺めれば、何かわかるのではないか、と思ったわけです。
 カセット・テープ版も含めると、その数は多すぎて、データとして十分に掌握できませんでした。
 以下、CDのリストを上げてみます。

  ■大人のムード歌謡〜男と女のラブソング集
  ■プレミアム・ツイン・ベスト 男と女のムード歌謡
  ■ムード歌謡 ベスト
  ■魅惑のムード歌謡黄金時代
  ■ムード歌謡(上) ベスト(キング・スーパー・ツイン・シリーズ)
  ■魅惑のムード歌謡デラックス
  ■ムード歌謡ベスト・コレクション★ゴールド
  ■黄金期のムード音楽40選
  ■魅惑のムード歌謡大全集
  ■ゴールデン★ベスト ムード歌謡
  ■ムード歌謡ベスト
  ■ザ・ベスト ムード歌謡名曲集
  ■ザ・定番ソングス! ムード歌謡ベスト・リクエスト
  ■ザ・ベスト 大人のムード歌謡デラックス〜思案橋ブルース
  ■ベストヒット! ムード歌謡
  ■ムード歌謡ベスト・コレクション〜ムード物語
  ■歌謡スーパー・ベスト
  ■蘇るムード歌謡ベスト30
  ■歌のないムード歌謡〜永遠の石原裕次郎
  ■歌のないムード歌謡曲100
  ■歌のないムード歌謡全集
  ■ムードコーラス ザ・ベスト・コレクション
  ■ザ歌伴・特撰〜魅惑のムード歌謡編[昭和32〜54年]

 ここでは、例外的に石原裕次郎の個別名が含まれていますが、歌手名やコーラス名のついたものも多数あって、それは外しました。CD1枚から10枚組までさまざまです。発売元は、ビクターエンタテインメントをはじめ、各レコード会社ですが、ムード歌謡は歌手がレコード会社に絞られない横断的なものがおおいので、ユーキャンとか通販専門会社から出ているものも多数です。
 それに「歌のない…」という演奏だけのものもあります。また、ムード歌謡と言えばテナー・サックス、ギターといった名手による演奏集もあります。ピアノだけとか、尺八といったのもあります。
 概観するとやはり、ムード歌謡のスタートは吉田正・フランク永井の登場あたりと言っていいようです。その後、デュエットが始まり、コーラス・グループが乱立します。コーラス系は、キャバレーやナイトクラブでショーとして重宝されたために増加したようです。
 今ではムード歌謡のジャンルに入れられる青江三奈などは、デビューして歌っていたころは「ケバイ」場末のクラブで歌うハスキーな歌手というイメージをもたれていましたが、この時点ではムード歌手とは言われなかったと思うので、まだムード歌謡という概念は薄かったように思います。フランク永井にしても、ファンの方は良くご存じのように、自分から「ムード歌謡歌手」などと言った覚えはありません。酒、涙、夜の盛り場、出会いと別れといったテーマの歌は主流ですが、彼の歌った曲を眺めると多岐にわたる分野を歌っています。ソフトな、ささやくような歌い方は、恩師吉田正を始めとする制作陣が彼だけの特徴を前面に押し出すような曲を、意識的に作り出して、意図的に色彩を施された感があります。
 その色彩は時代の求めでもあり、彼だけのできるものであったために、それが成功したと思います。
 レコード会社ごとに、ムード歌謡という肩書は無くても、そうした傾向にそった歌手は必ずおります。いずれの会社でも、最初から「ムード歌謡歌手」を名乗るものはほとんどいません。それは、ムード歌謡という、一般的な流行歌と比べて、何か少し狭い分野であるかのようなイメージを持つことを嫌う傾向なのかもしれません。
 キャバレーとナイトクラブで歌うということが現在では少なくなったので、その雰囲気自信を現在新たな視点で歌詞を書く、曲を作るということもなくなったようです。少なくとも、現代の若い層がそれを受け入れるとは思えないので当然のなりゆきでしょうね。
 「ムード歌謡」を称するCDは、カバーも多いです。カバーをきっちり歌えると追われる歌手が歌います。ムード歌謡というやや狭い分野では、よほどの歌唱力がないと歌の雰囲気が出せません。だから、他の分野で素晴らしい当たり曲を出していても、ムード歌謡を歌えば皆を感心させるとは限りません。やはり、適性が出てきます。
 この点では、フランク永井の場合はムード歌謡ははまりの世界ですね。フランク永井は広い分野に挑戦していて、たいていは素晴らしい作品を残しています。ただ、当然ですが、彼の独特な特徴のある声と歌唱は、すべての分野で合うわけではありません。「これは合わないな。商品としては出せないな」といった曲もあったと思います。
 先日行きつけの床屋さんにいったら、フランク永井は「黄昏のビギン」はうたっていないのか、とか「黒い花びら」はレコードがないのか、と矢継ぎ早に聞かれました。水原弘のカバー曲を聴いていると思い、残念ですが残っていませんと返事。ただ、横道にそれますが、黄昏のビギンについては、1962年に「たそがれのビギン」という同名(黄昏がひらかな)の曲を発売しています。「黄昏のビギン」は中村八大、永六輔の1959年の作品で大ヒットしました。
 この曲は名曲ですね。1991年、服部隆之が編曲してちあきなおみが歌い、テレビのコマーシャルで使われて、日本中に知れ渡ったのは印象的でした。フランク永井はこの曲をどこかでカバーしたのは間違いないと思います。だが、レコードとして残っておりません。いつか、再発掘されるのを首を長くして期待しています。
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