四六時中お笑いネタを考えネット大喜利やラジオ番組に投稿、いわゆるハガキ職人のツチヤ(岡山天音)はようやく台本作家の入口に立つ。ところが生来の不器用な性格が災いし…。放送作家ツチヤタカユキの私小説が原作。監督は滝本憲吾、メガホンはドキュメンタリー作品「サディスティック・ミカ・バンド」以来17年ぶり。
笑いへの情熱は理解できるものの、それ以上にツチヤのヘタレな生きかた、コミュニケーションの拙さにまずは圧倒されてしまう。原作者名と役名がまったく同じなのは、これがほぼリアルなキャラであることの証しだろう。地元大阪ではダメ人間の烙印を押され、意を決して上京するも人間関係不得意な日々が続くツチヤ。
そんななか、売れっ子芸人のベーコンズ西寺(仲野太賀)との出会いが彼を変え(たように見える)、ツチヤだけでなく、観る側にとっても西寺の思いやりと優しさがまるで砂漠のオアシスのように思えてくる。実は観終わったあと西寺そしてベーコンズのモデルとなった実在のお笑いコンビを知り、なるほどなあとおおいに納得した。
いろんな意味で“カイブツ”のツチヤ。物語が進むにつれ、この狂気をはらんだ存在は岡山天音以外に誰が表現できるだろうという思いにかられてくる。お笑いに興味のないひと、そして救いようのない破滅型キャラに嫌悪感を抱くひとにとっては支持できない作品かも。ただ正月ボケの頭には格好の先制パンチとなりえる秀作だと思います。
ログインしてコメントを確認・投稿する