アキ・カウリスマキ監督、「希望のかなた」以来6年ぶりの最新作品。不器用な生きかたを重ね孤独の日々を抱えたままの男女ふたりの物語。納得いかないままスーパーマーケットの仕事を解雇されたひとり暮らしの女性アンサ。彼女はある夜カラオケバーで酒浸りの男、工事現場で働く無骨なホラッパと出会ったが…。
ギクシャクとした空気が続くふたりの関係。ときおりラジオが伝えるある出来事がなければ、この物語の時代設定はいったいいつなのかさっぱりわからない。北欧市民というのは質素な生活を尊び、シンプルライフを旨とするということは予備知識としてあるにしても。そしてレトロ感あふれる音楽がさらに困惑に輪をかける。
カウリスマキ組とおぼしき顔がちらほらする周辺人物は喜怒哀楽という言葉を知らないのか、必要最低限なことしか口にしない。だからこそアンサがポツリと発するひと言は非常にユーモアにあふれ、それらは後半に進むほど面白味を増す。カウリスマキ作品に共通する原色というにはどこか寂しい独特の色づかいは健在。
ふたりが訪れる映画館で上映されていたのはいかにもな映画監督の直近作。セリフのなかにも映画タイトルが散見、おそらく我々にはわからないところにまだまだ隠し球は潜んでいるはず。そして今回もまたまた日本の楽曲、この意表の突きぐあいはいったいなんなのだろう。全編淡々とした印象も実はけっこう奥が深い81分でありました。
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