イラン発ロードムービー。荒涼たる大地にクルマを走らせるのは家族4人と犬1匹。足にギプスをした皮肉屋の父親と気持ちにアップダウンあるも基本的にはポジティブな母親。そして年の離れた男兄弟ふたりはなぜか終始無言のままハンドルを握る長男にどこまでも無邪気でいつまでも騒がしい次男。はたして彼らの旅の目的は…。
そう、観る側は彼らの置かれた状況そしてこの旅の目指すところを4人の会話の中からくみ取ろうとするのだが、これがけっこう不親切、なかなかくっきりとしてこない。ロードムービー的な出来事もいくつか起きるが、この物語全体を決定づけるまでには至らない。ただそこに連なるイラン人特有の思考回路や会話表現は興味深く感じた。
終盤に向かうにつれて、少しずつ旅の目的が見えてくる。こちらが推測したその答えは外れていなかったものの、観た後に各媒体のレビュー等でおさらいするまでその確信は持てなかった。イランという国の社会的状況や一般市民の置かれている立場をあらかじめよく知っておけば、より深くこの道行きを味わえたと思ったのも事実。
これが長編デビューとなるパナー・パナヒ監督は「人生タクシー」で知られるイラン映画界の名匠ジャファル・パナヒ(新作「熊は、いない」待機中)の長男。一見単調に思えながらもさまざまな様相を見せるイランの果てしない大地、そして終始屈託のない笑顔を見せる幼い次男、ヤラン・サルラク君のあどけなさが印象に残った良作でした。
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