”阪神が大谷ひとりにボコボコにされる”〜仮想空間あるいは夢の中でしか起きえないようなことがあっさり現実に。試合直前、大谷は無人のグラウンドでひとりウォーミングアップ(フォト左)、そしてスタンドに駆け寄りサイン会。彼なりのファンサービス、やっぱり違うなと思っていたら、その後に待っていたのはさらに異次元の出来事。
1本目の3ラン。あの片膝つきスイングであそこまで飛ぶとはと、誰よりも驚いていたのはおそらく大谷自身、二塁を回ったあたりの彼は実に嬉しそうにニコニコ。そして観ていたこちらの側、これではせいぜい内野フライだろうとすぐさま視線を天井に向けるもそこにはなにもなく、打球はバックスクリーン横のスタンドまで一直線。
2本目の3ランを放った直後の京セラドームは本当に異様な雰囲気。熱狂・興奮の大歓声とはどこかが違う、かといってまったくの静寂というわけでもない、スゴいものを見せつけられたときのザワザワとした奇妙な空気感。長いあいだ野球の試合を生観戦しているけど、この感覚は過去にあまり経験したことのないものだった。
大谷の異次元のスゴさをより強く感じてしまったのは、相手が阪神タイガースだったこともあるだろう。ようやくジェット風船以外の応援が解禁、おなじみのヒッティングマーチ生演奏が戻ってきた空間を、大谷というまったく規格外の存在に切り裂かれたような感覚、慣れ親しんだ日常のなかに非日常な異物が混じりこんできた印象。
最寄り駅までの帰途につく道では誰もみな満ち足りた顔つき。口々に「スゴかった」「よかった」「満足した」と、あえてたとえを探せば素晴らしいコンサートを体験したときのオーディエンスか。そこにいたすべてのひとを幸せにしたプロ野球の試合なんてはたしていままであっただろうかと、強く感じた早春の夜更けでありました。
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