mixiユーザー(id:2399973)

2022年11月04日17:00

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「窓辺にて」〜余白という名の贅沢

ヴィジュアルイメージ通りにこの作品にはいくつかの素敵な喫茶店が登場。そしてそれらとほぼ同じくらいの数のラブホテルの一室も舞台に。男女の微妙な感情が交差するラブストーリー。主人公のフリーライター茂巳を演じるのは稲垣吾郎。監督は現代の恋愛群像劇を次々に連発する今泉力哉。両者にとって代表作と言っていい力作。

わざわざ登場人物の相関関係や物語の行方まで記さないけれど、すべてのセリフに、カットに、シーンに、しっかりとした意味があるような落ち着いた味わい。そしてそれらを観る側がじっくり噛みしめ、その意味を探る余白が十分に用意されている印象。音楽は場面転換時のみ、その静けさがとても貴重に思える143分の長尺もの。

何編かの小説をめぐっての顛末、出版業界を舞台としているせいか、含蓄あるいくつかのセリフはまるで原作小説のフレーズをそのまま引用したかのように響く。ところがこの作品は今泉監督のオリジナル脚本、“映画を観るまで誰もこのストーリーを知らない”という、当たり前ながらも最近は少なくなってきたことに贅沢感を味わう。

都会に生きる男女の群像劇、さらに小娘にほんろうされる中年編集者という設定はウディ・アレン作品を連想(常に次回作が待機している多作ぶりも両監督共通)。もっともこちらの主人公はアレン作品ほど饒舌ではないけれど。ともあれこの微妙な恋愛感情の交差にどっぷり浸っていられる、これぞ贅沢な時間ではないかと思った次第です。
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