覚醒剤取締法違反で逮捕されてから執行猶予が解けるまでの4年間、清原和博という孤高の存在に密着、その内面をあぶり出したノンフィクション。著者は元日刊スポーツ記者、一気に読了した前作「嫌われた監督」は野球ものを超えて一般的な話題に、その主人公が呼びこんだのかどうかノンフィクション大賞の”三冠王”を手にしたとか。
”講釈師、見てきたような…”ではないが、清原本人と真正面に対峙している時間はもちろんのこと、PL学園野球部・甲子園大会・ドラフト会議…読み手の誰もが知る”清原史”の重要な一コマも、まるでそこにいたかのようなリアルな描写には唸らされるばかり、著者のたくましい表現力の前には多少の脚色にも目をつぶってしまう。
”巡る旅”とあるように、著者は清原のルーツをたどるべく、彼が生まれ育った岸和田、桑田が生まれ育った八尾、そしてふたりを結びつけた富田林に足を運ぶ。千葉生まれ愛知育ちの著者が感じたまま綴る南大阪すなわち泉州と河内、これらのエリアになじみ深いこちらとしては、まれに出くわすちょっとした誇張には思わず苦笑した。
清原本人はともかく、何度も取材を受けただろう周辺の人間たちは、ここまで生々しく書かれてどんな心持ちだろうか。「あなたは清原を食い物にしている」というある周辺人物の言葉はこちらにも重く響いた。それでも著者はこれからも清原を追い続けるだろう。ずしりと重たい読後感、思わず泣きそうになる場面もいくつかありました。
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