クリント・イーストウッド監督50周年記念作品はキリのいい40作目。独り暮らしが続く老齢のマイクはテキサスの小さな厩舎で働くかってのロデオ・スター。ある日、お世話になった元の雇い主から依頼あり。それは離ればなれになっている彼の息子ラフォをメキシコにいる元妻のもとから引き連れてきてほしいというものだった。
70年代末のメキシコ集落という設定、まずは観る側を非日常の世界に連れていく。いきなりセリフによって物語の背景をわかりやすく説明、この親切心はひとつ年下山田洋次監督作品に通じるなとニヤリ。物語の節々ではさすが映画のツボをよく心得ているなと思わせる、演出やカット割りをたびたび味わえるのは毎度のイーストウッド節。
ただ、これまでの彼の作品にくらべると物語そのものに起伏は少ない。実際にあった事件をとりあげた諸作品とはくらべるべくもなく、同系統というべき「グラン・トリノ」や「運び屋」と比較しても平坦なまま着地する印象。”91歳のクリント・イーストウッドが主演”するのでなければ、脚本の段階で手直しされそうにも思えたりする。
それでも主人公マイクの口からいくつか発せられる、人生に対するアフォリズム的言葉の数々、その味わいは今回も健在。くしくも同じ時代(とは想像しにくいけど)をとらえた「ハウス・オブ・グッチ」リドリー・スコット85歳のギトギトぶりとは好対照、その淡々とした枯れぐあいは美しいとさえ感じさせたロードムービーでした。
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