娯楽大作巧者のイメージがある堤幸彦監督、節目の50本目は初の自主制作映画。それってコンスタントにヒットを放ってきたミュージシャンが、新作はインディーズからのリリースとするようなもの。事故死した男の部屋で、葬儀のあとハチ合わせした妙齢の女性3人。男が本当に愛していたのは私だと各々が強硬に主張するが…。
世間的には無名の女優たちが演じる群像劇は“いまだ手垢がついていない”という観る側に都合のいい思い込みも含みながら、好みの女優と出会う楽しみが待っている。昨今活躍の監督作品で言えば「ハッピーアワー」や「街の上で」がその好例。ところが今回は究極の真逆、感情移入など始めから拒否しているかのような女優が並ぶ。
野宮真貴風も横澤夏子風もブリっ子の女性も、醜い顔つきをぞんぶんに振りまきながらバトルを重ねる。そしてだんだんとその中味は観る側とりわけ男性の下劣な欲情を喚起する方向に傾き、そのまま下品極まりない(と思ったけど、人間愛に溢れた、とチラシは謳っている)、明け透けなエンディングまで一気に突っ走る。
堤監督が好き放題したかったことってこれか、まあ男の欲情を知るのはやっぱり男か、と思っていたら脚本を担当したのは女性だった…。時間的前後関係はわからないけど、監督の直近作は国民的アイドル嵐のライブドキュメンタリー。過度なプレッシャーから解放され、毒を吐きたくなった気持ちは大いに分かります、というところです。
ログインしてコメントを確認・投稿する