自身が経営するファストファッションブランドが大成功、一代で財を成したリチャード・マクリディ(スティーヴ・クーガン)の虚飾に満ちた日々。ギリシャ・ミコノス島における還暦パーティーが無事開宴となるまでの数日間を中心に、成功までの道のりや脱税等で訴えられた裁判の様子を挟んでいく。監督はマイケル・ウィンターボトム。
低価格商品の成功者という先入観のせいか、ハイソな人種を描いていてもスクリーンからはどことなくチープで粗っぽい感触を受ける。ジャーナリストが存在感に欠けるなと思う反面、スリランカの生産工場をリアルに写してみたり、これはいったい社会派作品なのかそれともエンタメ作品なのか、観る側はとまどいを感じつつ物語は進む。
時系列がけっこう前後することもとまどいの一因となるが、それらすべてを一掃するのがテンポの良さ。主人公リチャードの強欲・傲慢ぶりには受け入れ難い部分ばかりが占めるものの、そのセリフのなかに固有名詞とりわけポップ歌手の名前が次々と登場、彼らを揶揄するくだりは楽しく、思いがけないサプライズも待っていた。
いかにもエンタメなフィナーレが用意されたかと思いきやエンドロールではシリアスな現実に直面。観る側は誰しも我が身を振り返り、ファストファッションのありかたに思いを馳せることになる。映画館を出てすぐ目についたのがユニクロ感謝祭のポスター、私自身のきょうの出で立ちは上から下まですべてGAPだったし。
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