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2021年03月27日16:00

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「騙し絵の牙」〜速水編集長まかり通る

”めちゃくちゃ面白いです!”―これは予告編でもおなじみ、主人公のカルチャー雑誌「トリニティ」編集長・速水(大泉洋)がキメどころで吐くセリフ。この作品全体を貫くキーワードでもあり、スリリングな展開を味わった直後の私がまっさきに伝えたいメッセージでもあり。吉田大八監督による超一級のエンターテインメント作品。

伝統ある文芸雑誌を護ろうとする守旧派、カルチャー雑誌で刷新を図ろうとする改革派、不況にあえぐ崖っぷち老舗出版社を舞台にした派閥権力争い。大胆不敵を体現した速水は人脈を駆使しつつさまざまな仕掛けを重ねていく。タイトル通りのコン・ゲーム的要素にあふれ、たたみかけるようなテンポはスクリーンから目が離せない。

原作とはけっこう違っていた。リアリティがやや後退したぶん、設定がダイナミックに変化していたのは好感。かといって原作をおとしめているのではなく、出版・メディア業界の現状と問題を把握するには格好のテキストとしておすすめ。まあ最初から大泉洋をイメージした”あて書き”が、映像化のさいにイジられるというのは皮肉だけど。

出版業界の内幕物として読書好きや活字中毒のかたにはぜひ。とにかく邦画ではめったに出会えない知的かつスリリングなエンタメ作品。もし当初の予定通り昨年4月の公開だったら、まちがいなく邦画ベスト3にランクインさせていただろう傑作。まあことしは年明けから優れた邦画に恵まれているので、どうなることやらわかりませんが。

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