デンマークの美しい農村で酪農業を営む27歳のクリス、彼女が日々世話するのは何頭もの牛、そして身体が不自由な叔父さん。ふたりが暮らす単調な毎日にやがて少しのさざなみが…。監督は40歳のフラレ・ピーダセン、小津安二郎を敬愛しているとのこと。主役のふたりは実生活でも姪=叔父の関係にあるという。
初めてスクリーンに字幕が現れたのは始まって何分後だったろうか。物語はまずふたりの暮らしぶりを、夜明けから夕暮れまで丸一日静かに静かにたどっていく。観る側は酪農業に携わる者の平均的一日、そしてふたりのあいだに漂う微妙な空気を味わい、クリスはあまり感情を表に出さず、勝ち気でややぶっきらぼうな女性だとわかる。
さて、そろそろ何か起こるかなとこちらは身構えるが、こんどはこのふたりの過去、いまこの状況に至ったいきさつをセリフのなかから推察する時間が続く。とはいえセリフは相変わらず最小限、キッチンのテレビから聞こえる国際情勢のほうがよっぽど饒舌だ。そう、小さなさざなみが起きるまでけっこう焦らされる作品だということ。
クリスとある男性との出会いという名のさざなみ、焦らされたわりにはこの程度と思うのか、それともそうではないのか、それは観る側の味わいかた次第。なんだか状況説明ばかりに終わってしまったけど、結末そしてその後の行方もふくめ、まことにイージーな表現ながら、これぞ観る側の想像力に委ねられる典型的小品ということです。
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