2001年のベルリン、高級ホテルのスイートルームで経済界の大物実業家が惨殺される。殺害したのは30年以上ドイツで暮らしてきたイタリア人コリー二。そして彼の国選弁護人に任命されたのが主人公ライネン。経験3か月の新人弁護士は、やがて被害者が自分の少年時代にお世話になった、かけがえのない恩人だったと知る…。
人生の師を殺害した人間の弁護…初めのうちはライネンの個私的な思いと任務に対する忠誠心のあいだにさまよう葛藤が、この物語のテーマだろうと誰しも思うはず。ところがこの事件は戦時中におけるドイツ国家の汚点、そして戦後史における大きな司法スキャンダルに大きく関与、物語のスケール感は徐々に増してくる。
ドイツ語の持つ響きは法曹の世界によくマッチするなあなどという下世話な印象もふくめて、いかにもドイツ映画らしい重厚な感じが全編に満ちている。主人公ライネンを演じたエリアス・ムバラクはいままでコメディ畑の人気者だったらしいけど、この作品を機にシリアスな役柄にも挑戦という日本でもよくあるパターン。
現役弁護士が書いたベストセラーの映画化。小説の出版によって明るみにされた法の落とし穴を見直そうと、独法務省に委員会が実際に設置されたという。メインキャストそれぞれの過去場面の配分が絶妙、衝撃のエンディングまで目が離せない。ドイツこそが法曹ものの本場かもしれないなと確信させる厚みのある作品でした。
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