スキャンダルにまみれたイタリア元首相ベルルスコーニを描いたドラマ。監督は「グレート・ビューティー 追憶のローマ」や「グランドフィナーレ」のパオロ・ソレンティーノ。主人公のキャリアや政治家としての活動そのものよりも、色欲に溺れたスキャンダラスな側面を、拡大解釈して濃密な映像美(けっして美しいものばかりとは言えないと思うが)でまとめた157分。
”壮大なる失敗作”というフレーズがあるけど、この冗長さほどその言葉が当てはまる作品はないのでは。いや、この色彩的きらめきこそが素晴らしい映画表現と、したり顔で言う輩が出てくるかもしれないけど、正直なところ退屈と闘っただけ、実際何度か眠りに落ちてしまったが、たぶんそうなるように作られているのではと思えるほど意味のないショットの連続。
半裸の美女がやたらと登場して、目の保養どころかゲップが出るようなシツコさ(これぞ“伊”にモタれる)にいささかゲンナリ。イタリアの政治状況あるいはベルルスコーニ自身に関する知識があればもっと理解できるのでは、日本人には難解、というレビューもあったけど、仮にそれなりにの知識があったとしても(あるいはそうなると余計に)拒絶反応をしめす観客が大多数だろう。
それにしてももったいないと感じた今回の表現手法。それとも自由な表現に寛容な国イタリアと言えど、いろいろ政治的なさしさわりが阻んでこういう風にしか描けなかったのか。いずれ近いうちに、ごくごく真っ当な正統派ベルルスコーニ伝をしっかり観たいと思った次第。伝記映画の素材として、近年のあまたある政治家のなかでは圧倒的に魅力的な人物なのだから。
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