1976年、"奇跡の奪還”と言われたエールフランス乗っ取り事件を描く。テルアビブ発パリ行きのフライトがパレスチナ人2名とドイツ急進派左翼2名によってハイジャック、今回新たな研究により明らかになった事実をくわえてこれが4度目の映像化。監督はかってバスジャック事件を題材にしたドキュメンタリー作品「バス174」を撮ったブラジル人ジョゼ・バリージャ。
基本的には"ドイツ人ハイジャック犯ふたりの目を通して”ということになるのだろうけど、機内乗務員、人質たち、イスラエル政府(国防大臣役に「おみおくりの作法」の英国名脇役エディ・マーサン!)、そして特殊部隊…さまざまな角度からこの救出劇をとらえていく。ただそのぶん後半にすすむにつれて視点がやや散漫になっていくような印象なきにしもあらず。
ハイジャック犯のひとりにロザムンド・パイク。現在上映中の「プライベート・ウォー」では実在した戦場記者を好演している彼女、今回はまったく正反対の立場を演じていて興味深い。どちらにしても強い女キャラということか。そしてどちらの作品も彼女が鏡に向き合うシーンが全体のアクセントになっているから面白い。ラスト近くの"一人芝居”シーンは屈指の名場面。
事件の性質上、セリフにはさまざまな言語が飛びかいリアリティは十分(イスラエル政府高官たちはみな英語だったけど)、そのあたりにマルチリンガル俳優ダニエル・ブリュールの主演起用があったのかも。ときおりイスラエルの現代舞踏シーンが織りこまれ、緊張感がまったく途切れることのないこの作品におけるスパイス的な役割を果たしています。
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