ホアキン・フェニックス主演、大都会の片隅で生きる狂気の大道芸人アーサーの物語。「バットマン」の悪役ジョーカー誕生の前日譚となっているが、どこまでつながっているのだろうか。人気コメディアン役にロバート・デ・ニーロ、彼の過去作からの影響が言及されること間違いなし。監督は「ハングオーバー」シリーズ等、コメディ畑の多かったトッド・フィリップス。
オスカー確実などとここにきてエラく評価が高まっているが、問題作ではあることはたしか。このアーサーというキャラとはどう対峙したらいいのか考えているうちにエンドマークの122分。観終わったあとのなんとも言えない複雑な感情は、痛快感などというものからはほど遠く、市井の悪人かつ弱者を取り上げたこれまでのピカレスク作品とはまったく違う苦々しいもの。
もちろんホアキン・フェニックス出ずっぱり。今回は身体を絞ったのか、それとも最近作のほうでムリに増量していたのか、どちらにしてもあいかわらずの怪優ぶり。劇中に何度か登場する彼のけっして美しいとは言えない、いやむしろ醜悪なむき出しの背中が醸し出す“負け犬の遠吠え”感が、案外キャスティングの一因となったのではなんてことを考えてしまった。
舞台はゴッサム・シティ。“X0年代のニューヨーク“としないのは、それだとあまりにも生々しく嫌悪感ばかりの余韻を残すからだろうか。あえて重箱の隅をつつくと時代考証においては多少の齟齬があったような。まあでもそこは架空の大都会なので。どちらにしてもこれまでのダークヒーローものとはまったく違った、まちがいなく好き嫌いの分かれる作品だと思います。
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