フランク永井の「大阪野郎」は1960(S35)年に発売されたレコード。これは、同年の春から読売テレビ(YTV)でおよそ1年間放送されたテレビドラマ「大阪野郎」の主題歌。フランク永井ご自身はドラマ出演はしていないようだ。
ドラマは、当時まだ若手の藤本義一が椎名竜治(椎名竜二)と組んで脚本を書いたもの。藤本義一といえば、放送作家としてトップを走る作家で、東の井上ひさしとともの超有名な売れっ子。ドラマが面白くないわけがないとの定評がある。残念なことに筆者は観てないのでなんとも。
放送終了とともに松竹から映画化され翌年に上映された。多くの俳優が映画にも移ってご活躍した。内容は「バイタリティあふれる浪花男の心意気をドヤ街を舞台に、痛快に描く根性もの」と紹介されている。
主題歌「大阪野郎」は作詞中沢昭二、作編曲斎藤超。作詞家、作曲家ともにフランク永井に提供したのはこの1曲だけ。中沢昭二は映画、ドラマ系のシナリオライラー(だが、幅広く仕事している)。作曲家の斎藤超(わたる)。資料がほとんどないので、どういう方であったかはよくわからない。
唯一と思える記事がネットサイトにあった。2009年のものだが「斎藤超エレクトーン黎明期の天才奏者」(daddy-k氏)と紹介されている。それによれば、国産電子オルガン(エレクローン)が発明され発売されて当初からの、優れた奏者であり、作曲、編曲でもなみなみならぬ才能を発揮し、教育にも力をそそいだとのこと。
命のようなこの楽器を守るためにたたかい、病気になり不幸にも1965(S40)に若くして亡くなられてとのこと。
このような方が曲を提供されていたというのは奇跡的で貴重。あらためて「大阪野郎」を聴いてみた。ところが、最近にひょんなことから「大阪野郎」のSP盤があるときき、聴く機会を得た。
SP盤は「大阪野郎」では発売はないはず。この年、1960年はSPからEPへいっきにレコード製造発売が変化した年。フランク永井のレコードでは、三浦洸一がドラマ主題歌で歌った「流転」のB面「鈴懸の頃」がV-42000盤で最終を飾った。
これが1月で「大阪野郎」は半年後。SP盤だという「大阪野郎」は、みると確かにSP盤に違いないのだが、B面はボロボロ(?)。理由は分からないのだが、SP盤初期のシェラック製とは異なり、ビニール製に何かコーディングしているようで、それがベースからはがれている箇所が多く目立つのだ。
表面が「大阪野郎」のフランク永井の歌で、B面は演奏だけというのだが、表面はかろうじて聴けるがB面はだめ。
タイトルで「妙」と言ったのは実は、これだけではない「妙」があるからだ。それは、今までのSPで見たことも、聴いたこともないこと(私には)。何とSPの針を外周からではなく、内周に落として外へ動いていくというもの。
驚いた。最初は外に針を落とすが、何度やっても「終了」する。さんざん首をかしげた挙句、もしかしてと思いつつ、内周に針を添えたら、ちゃんと再生したという次第。
こんなSPは私には初めてだが、どなたか、そんなSPのことについてご存知なら、ぜひご教授いただきたい次第。
SPのレーベル箇所はNIHON DENK ONKYO CO. LTDの汎用に手書きで「主題歌(唄入り)3'17"」「主題歌(楽団演奏)2'27"」と書かれている。
そこで、あらためて、SPがつつんであった封筒を見てみたら、そこに写真のように「大阪野郎主題歌 斉藤様 YTV」と。つまり、放送局で使用したもので、かつ作曲である斎藤用のもの。これが何らかの事情でここにある、というものではなあろうか。
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