ことしのアカデミー賞で主演女優・助演男優・脚色の3部門にノミネートされるも、残念ながら日本では劇場公開なし、デジタル配信を経たあとこのたびDVDリリース。セレブの手紙を偽造した女流作家リー・イスラエル2008年の自伝を映画化、ということはまたまた実話もの。原題は劇中のセリフとしても登場する「Can You Ever Forgive Me?」。
かっては伝記作家として名を成したリー(メリッサ・マッカーシー〜3年前のリメイク版「ゴーストバスターズ」コメディエンヌ3人組のひとり(吹替えは渡辺直美〉)は、傲慢な態度と融通の利かなさから徐々に仕事を失い、おちぶれた生活を続けていた。ある日、ふとしたことから過去の著名セレブ作家の手紙が高く売れることに気がつき、コレクター相手の偽造手紙作成を始める…。
一見どこにでもいるおばちゃん風体のリーながら、偽造手紙のためには時代ごとのタイプライターを古物商で買いもとめたり、手紙の紙質にも凝ったりとなかなかの策士。かといってそのまま順風満帆にコトが進むはずもなく、やがては著名セレブ作家の研究者やマニアックなコレクターの追及によって偽造行為にほころびがちらつきはじめる。
古書店員や図書館員、リーをとりまくひとたちのなかでもとりわけ魅力的なのは、けっして男女の間柄にはならない破滅型ゲイの旧友ジャック(リチャード・E・グラントが好演)。その奇妙な友情がこのコメディ風味のヒューマン・ドラマ一番の見どころ。いかにも"小品”という言葉がふさわしい作りとはいえ、やっぱり劇場のスクリーンで観たかった傑作だと思いました。
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