メディアと官邸の攻防。東都新聞の記者エリカ(シム・ウンギョン)は、自らの組織に疑問を持つ若きエリート官僚の杉原(松坂桃李)とともに大学新設計画に関する極秘情報を探っていく。この「疑惑の大学誘致」だけではなく、「官僚の飛び降り自殺」「レイプ被害者記者会見」など実際に起きた問題を織りこみ、国家の情報操作という大きなテーマに挑んだ意欲作。
フィクションの体をなしているとはいえ、たしかにここまで国家の闇に鋭く突っ込んだ社会派作品は少なく、公開をあえて選挙の前に持ってきたのではないかと思ったりする。ただ、限りなく冷徹な内閣情報調査室のトップ(田中哲司)を悪の存在としてあえて盾のように置くことによって、そこから先にある本当の闇までは触れないようにしているのではないかとも勘ぐってしまう。
さらになぜ主演に韓国人女優を起用したのかと。最初のうちは、このキャラなら上野樹里か黒木華あたりが適役かなどと貧しい想像力を駆使しつつも、観終わったいまとなっては、見事な日本語もふくめシム・ウンギョン以外になしと思わせた熱演だったけど…。やっぱり日本の女優陣(とその事務所)はこの内容に妙な忖度が働き、出演に尻込みがあったのだろうか。
このところハリウッドではメディアと国家の攻防をテーマとした傑作が続き、おくればせながら日本でも同様の作品が登場したことは素直に歓迎したい。そのシリアスな中身に反するかのように劇場内からはたびたびの笑い、それらはもちろん面白さや可笑しさから来るのではなく、ほとんどが現在の国家権力にたいする「苦笑」「冷笑」「嘲笑」でありました。
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