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2018年12月02日17:00

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「斬、」〜すべてを切り裂く音

塚本晋也監督が完全オリジナルの時代劇に挑戦。舞台は江戸時代末期の農村、というよりむしろ緑深き山中がほとんど。幕末の世、人を斬ることに疑いを持つ素浪人に池松壮亮、隣人の娘に蒼井優、そして塚本監督が剣の達人として自ら出演。骨太という言葉では物足らないくらい、重く厚く暗くそれでいてシンプルで力強い直球勝負作品。

迫力ある音響が印象的。人を斬る音や叫びに近いセリフ、唐突に飛びだす効果音もふくめ、すべてが破壊音あるいは破裂音のような響き。そしてスクリーン全体をおおうくすんだ色彩も特徴。幾度となく飛びかう血しぶきも、けっして鮮血とよべるようなものではなく、ヘンな言いかただけどまだそこに魂が宿っているようななまなましくドロドロしたもの。

上映終了、劇場内が明るくなる寸前あたりで後方座席のオッサンが「消化不良!」と叫んだ。けっしてほめられたマナーではないと思うけど、言いたい気持ちはわからなくもない。物語にふくらみがあるわけでもないし、後味もけっしてスッキリしない。それこそが塚本作品だと言ってしまえばそれまでだけど、観る側を選んでしまうということになるかもしれない。

そのぶん塚本監督のファンは、この美しさと力強さを真正面に受けとめ身もだえするのでは。セリフをよく味わうと現代社会にたいする比喩がいくつか見られたり、さらに作り手があえて仕掛けたのだろう、セリフがときおり急に現代の日常会話っぽくなる異化効果も。とにかく終始ずっしりと重い堅固な鋼(へヴィーメタル⁈)をこちらに突きつけられているような作品でした。

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