「愛、アムール」で老いと愛、生と死の問題を投げかけたミヒャエル・ハネケ監督3年ぶりの新作。ドーバー海峡をのぞむ北仏の港町カレー、その一角に豪邸をかまえるロラン一族。一見ハイソな生活ぶりながら、それぞれが孤独を抱え…。一家の主ジョルジュにジャン=ルイ・トランティニャン、その娘アンヌにイザベル・ユペールという「愛、アムール」父娘がふたたび。
老夫婦のゆくえを追えばよかった「愛、アムール」にくらべれば今回は家族全員の物語、ところがハネケ監督はあまり親切ではなく、人間関係を整理するまでにけっこう時間がかかってしまう。まあ山田洋次作品のように明快にはいかないということです。そして冗長に思えるカットにもきっちりいくつか遭遇、さらにこのシーンの意味ってなに?と問いかけることもしばし。
とりあえずはロラン家で預かることになった13歳エヴ(ファンティーヌ・アルドゥアン〜「少女ファニーと運命の旅」)の目を通して見た家族それぞれの人間模様、という観かたが真っ当だと思うけど、そんなにシンプルなものではなく、ラストシーンに破たんを迎えるまでは淡々した演出が続いてちょっとやっかい、観る側にはいくばくかの忍耐力が要求される。
“誰もがみな家族を演じている”といえば今度は山田太一作品となるのだけど、フランス人気質がそこに加味されるからか、彼らはもっとエゴイズムに満ち、もっと空々しさに包まれているという気がしてくる。そしてやっぱりこのタイトルの持つ意味とはなんだったのか、いろいろと裏読みばかりをして結局着地点は見つからず、というのが正直なところです。
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