フランク永井が生涯属したのは、レコード会社ビクター(現株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)だが、1970年代前期にポニー(現株式会社ポニーキャニオン)からもユニークなテープ作品をいくつか発売していたことを何度か記事にした。
いくつか問われたこともあり、その続き。ポニー(現在はポニキャンなどとも呼ばれているようだが)は、ビクターやコロンビアなど元が世界的な外国企業との関係で設立したといったようなレコード会社と異なり、日本で生まれたレコード会社である。そして当時テープ作品を先駆けて発売していった実績が高く評価されている。
しかも今と異なり専属のエンタ―テナーを持たずに展開していた(*)ということが、他のレコード会社の人気歌手を使えた強みになっていた。フランク永井というビクターの看板を背負っているようなビックな歌手でも、ポニーのオリジナル企画で、新曲やカバーを歌う、しかも編曲・演奏まで新たな吹込みをするということが実現できたのだ。
こうした画期的なことが実際に展開され、フランク永井については現時点で、下記の5点が確認されている。収録曲のリストは文尾に。
20CPJ-017 最新ヒット20を唄う(TAPE)
20PJ-0078 ナイト・クラブで20曲(8TRACK)
20CP-6031 デラックス20夜のムード歌謡(TAPE)
36P-1106 カラオケファンのためのムード歌謡20選(TAPE)
8PJ-3144 長崎は今日も雨だった〜最新ヒット歌謡をうたう(8TRACK)
「カラオケファンのためのムード歌謡20選」はオムニバスで、石原裕次郎とかムードコーラスの歌手が参加している。オリジナルの吹込みになっていて、各歌手の原曲ともことなる味わいがある。
これら作品全部で92曲(内フランク永井は75曲吹込みをしている)で、別テークがあるために曲数では56曲歌っている。うち、フランク永井がPONYだけで歌っている曲がおどろくべきことに35曲に及んでいるのである。
加えてフランク永井のオリジナルではないかと思える曲も4曲含まれている。「行ってしまった恋」「好きなのに」「好きなのに」「フランクの夢は夜ひらく」。
カバー曲集を装いながらオリジナル曲をさらりと挿入していることなども含め、ある意味では余裕と遊び心が感じられる。1970年代(いくつかの製品については残念ながら、正確なリリース年月が判明していない)という時代がなせる流行歌の爆発だったのかもしれない。
これらをあらためて聴いてみると、フランク永井の歌唱力のすごさを感じるのだが、フランク永井の周囲の多くのスタッフのトライアル精神と言うか意気込みが伝わってくる。
由紀さおりの「夜明けのスキャット」など、フランク永井が歌ったらどんなんだぁと思ってしまうのはうけあいだ。「グッド・ナイト・スイートハート」はフランク永井のデビュー2曲目だが、ここでの歌唱もなかなかといえる。同時期にフランク永井はビクターから多数のカバー作品を出している。同名の曲も多く吹き込んでいて、聴き比べるのもいい。
これらの作品の完成度はどうなのかというのは、多くのファンに聴いていただくのが一番なのだが、残念なことに容易に聴けない。それはそうした現物が埋もれてしまっていて、簡単に手に入らないからでもあり、あってもテープはまだしも8トラックなどは再生する環境がなくなっているからでもある。
つまり、ポニーキャニオン、あるいはビクターエンターテインメントから、CDやダウンロードのような方式で再リリースを実現してもらう以外にない。それを強く願うものである。
問われるのは「それ聴けないの」というのが一番多い。この時代だから、音源を埋もれさせたままにしておかずに、どんどん世にさらすことで裾野を広げ、フランク永井の魅力を訴えてほしいものである。それがレコード会社なのではないだろうか。
◆:オリジナル曲 ▲:ポニーだけ(VEから出ていない曲)
■8PJ-3144 長崎は今日も雨だった〜最新ヒット歌謡をうたう
01 長崎は今日も雨だった/02 悲しき天使▲/03 夜霧よ今夜も有難う/
04 夜明けのスキャット▲/05 みんな夢の中▲/06 知りすぎたのね/
07 時には母のない子のように/08 君こそ我が命/09 行ってしまった恋◆/
10 グッドナイト・ベイビー/11 今は幸せかい▲/12 好きなのに◆
■20CPJ 017 最新ヒット20を唄う
01_命預けます▲/02_希望/03_京都の恋▲/04_男と女のお話▲/05_今日でお別れ/
06_もう恋なのか▲/07_ガラスの部屋/08_酔いどれ女の流れ唄▲/
09_いいじゃないの幸せならば▲/10_サン・トワ・マミー/11_手紙▲/12_噂の女▲/
13_愛のフィナーレ▲/14_一度だけなら▲/15_そっとおやすみ/16_私だけのもの▲/
17_逢わずに愛して▲/18_女の意地/19_世界は二人のために▲/20_雪は降る▲
■20PJ-0078 ナイト・クラブで20曲
01-知床旅情/02-雨がやんだら/03-生きがい/04-誰もいない海/05-愛の怖れ▲/
06-女の意地/07-影を慕いて▲/08-人生の並木路▲/09-夜霧よ今夜も有難う/
10-フランクの夢は夜ひらく◆/11-ベッドで煙草を吸わないで▲/12-つめ/
13-赤坂の夜は更けて/14-ウナセラ・ディ東京/15-嘘は罪/
16-ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー▲/17-あいつ/18-別離▲/
19-ラスト・ダンスは私に/20-グッドナイト・スイートハート
■20CP-6031 デラックス20夜のムード歌謡
01_夜は恋人◆/02_フランクの夢は夜ひらく◆/03_赤坂の夜は更けて/04_別離▲/
05_知りすぎたのね▲/06_知りたくないの/07_アカシヤの雨がやむとき/
08_あいつ/09_ウナセラディ東京/10_恋心/11_今日でお別れ/
12_夜霧よ今夜も有難う/13_ラブ・ユー東京/14_女の意地/15_爪/
16_ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー▲/17_銀座ブルース/
18_ベッドで煙草を吸わないで▲/19_ラスト・ダンスは私に▲/
20_グッド・ナイト・スイートハート
■36P1106 カラオケファンのためのムード歌謡20選
01_くちなしの花(石原裕次郎)/
02_よせばいいのに(敏いとうとハッピー&ブルー)/
03_意気地なし(森雄二とサザンクロス)/04_ブランデーグラス(斎条史朗)/
05_女の意地(フランク永井)/06_知りすぎたのね(ロス・インデオス)/
07_抱擁(敏いとうとハッピー&フルー)/08_知りたくないの(フランク永井)/
09_君は心の妻だから(石原裕次郎)/10_別れても好きな人(ロス・インデオス)/
11_わたし祈ってます(敏いとうとハッピー&フルー)/
12_ラブユー東京(ロス・プリモス)/13_コモエスタ赤坂(ロス・インデオス)/
14_恋あざみ(森雄二とサザンクロス)/
15_星降る街角(敏いとうとハッピー&ブルー)/16_新潟ブルース(ロス・プリモス)/
17_夜の銀狐(斎条史朗)/18_生命のブルース(森雄二とサザンクロス)/
19_赤坂の夜は更けて(フランク永井)/20_そっとおやすみ(石原裕次郎)
*キャニオンレコードは後に合体するのだが、ここでは歌手を抱えていた。別項でも触れたことがあるが松尾和子は一時期?属していて、ここのレーベルでテープ作品を出している。1984年「28P6336-SATIN VOICE 松尾和子」。
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