しかしボクシング映画というのは邦洋問わず毎年最低1本は封切られ、だいたいの展開というか結末がそう変わるわけでもないのに、なぜかかならず観てしかも感動してしまう。まあ作品それぞれの差異を楽しむという観方もあるけれど。それにしてもふだんリアルなボクシングはほとんど見ないのに、作り物のほうにはほぼ皆勤。こんなギャップのあるスポーツほかにないですね。
さて今回は1980年代の実話。「セッション」で鬼教師の厳しい指導に耐えていた、あの繊細な青年を演じたマイルズ・テラーが伝説のボクサー、ビニー・パジェンサ役。そして「ハドソン川の奇跡」で難事に遭遇しながらも機転をきかせた副機長を演じたアーロン・エーカットがトレーナー、ケビン・ルーニー役と、両者ともに新境地といえる実に興味深い顔合わせ。
生死をさまよう自動車事故からの帰還。首を骨折して脊髄を損傷、日常生活もままならないところからのボクサー復帰。おそらく当時の最先端技術だろうと思うけど、この手術をふくめた治療場面がとても生々しく、見ていて思わず目をそむけてしまった。そう、ボクシングの試合の場面でストレートパンチを何発も食らうより、ずっと痛々しく感じたシーンだった。
そしてボクシング映画のお約束、主人公をめぐる家族の存在。今回もおそらくイタリア系と思うけど、両親を中心とした大家族主義というか独特の温かさがとても興味深い。死の淵から立ち直る主人公ビニーも本来はちゃらんぽらんな軽いノリの男なんだけど、考えてみればボクサーなんていう商売はちゃらんぽらんなところがないととても務まらんなあ、そんなことも考えた力作でした。
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