多民族国家マレーシアの高校が舞台、校内音楽コンクール「タレンタイム」(=Talent Time)に選ばれし生徒たちの青春群像。古典的なユーモアの感覚もふくめ、総じて前時代的というか素朴な映画運びがどことなく懐かしい気持ちを運んでくる。2009年の作品、たしかアジアン映画祭で話題になっていた記憶あり。女性監督ヤスミン・アフマドはこの作品発表後に急逝。
登場人物は各民族にまたがり、セリフはマレー語・タミル語・英語・広東語が飛びかうことになる。さらに彼らが家族や近しいもの同士でかわす言語と、公的な状況で使うそれが違ってきたりする。もちろんそれらは上下関係によって大きく左右されるし、感情的になればそれぞれの母国語が飛びだしてしまう。そこへもってきてこの物語では手話もひとつのカギとなっている。
そしてそのやりとりを、我々はすべて日本語の字幕のみにて味わうことになる。なので〈カッコ〉つきや《二重カッコ》の字幕が登場しても、どこまで我々は微妙なニュアンスが理解できているのかなという思いも少し残る。さらに言語の違いのみならず、それぞれの民族の歴史的・文化的・宗教的な背景をよく知っておいたほうがより深く味わえるのかなと思う。
音楽コンクールが舞台、そこではいくつかのオリジナル楽曲が登場人物によって披露される。やっぱりこういうときは英語詞なのかと思ってしまうけど、すべてのメロディと歌詞が素朴で心にしみいってくる。異民族間のふれあいをテーマとした作品、エンドロールにおいて、あるワールド・ミュージックの巨匠たる人物の曲が流れたときにはさもありなんと感じた。
ログインしてコメントを確認・投稿する