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2017年04月08日10:46

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フランク永井盟友松尾和子のカバー特選「SATIN VOICE松尾和子」1984 by PONY

 フランク永井のレコードとしてビクターから発売されていないPONY製のカセット2点を別項で紹介した。このカセットは1980年代に他の歌手が歌ってヒットした曲を、特別なアレンジで歌ったカバー。ここだけでしか聴けない曲をふくむおよそ40曲近く。
 そのPONYからフランク永井の盟友であった「ムード歌謡の女王」松尾和子のカバー・アルバムがやはりカセットで出ている。松尾和子も多くのカバー曲を歌っているが、このカセットのものはフランク永井のものと同様異彩をはなつ作品になっている。
 1984年「28P6336-SATIN VOICE 松尾和子」で、松尾和子は当時住み慣れたビクターからなんとPONYに移籍していたときの珍しい作品だ。PONYも名の馳せた松尾をどう売り出すかは相当に考えたものと思う。
 松尾といえばとにもかくにもフランク永井と同じく永年ビクターに属していたと記憶するひとがほとんどだろう。彼女のヒット曲がビクター時代のものがほとんどだからだ。筆者もポニー時代に出した曲は当時一つくらいは覚えていたが、もう忘れてしまった。
 さて、このテープに収録されているのは、下記のとおり。

 ラブ・イズ・オーバー/秋冬/居酒屋/釜山港へ帰れ/夢芝居
 時計/黄昏のダンシング/夢の途中/SWEET MEMORY/大田ブルース/さざんかの宿

 聴いてみて驚く。歌のうまい松尾の歌唱の技巧が全編に織り込まれている。どれも価値のあるものばかりだが、ラブ・イズ・オーバーなどはおそらく、オリジナルを超えているかもしれない。もちろんパンチの利いた元歌もすごいのだが。
 釜山港へ帰れ、さざんかの宿…。こんな曲は松尾はどう料理するのだろう、と聴く前からわくわくする。期待にたがわぬ歌唱で答えてくれている。居酒屋にいたっては、男性パートまで歌いかぶせるというサービスも発揮している。
 松尾の歌い方に対して「ため息なのか、耳元でのささやきなのか、語っているのか、歌っているのか」とよく論議されたものだ。メロディーにのってよくぞここまで、ほとんど一小節ごとに声音を変えて歌えるものだ。彼女の鍛えられた歌に対する土台の素養がわかる。
 さて、このアルバムには小倉友昭で「豊潤な美酒の味わい−松尾和子−サテンの光沢を持つ歌手」と題した解説が掲載されている。漢字が異なるが言わずと知れた彼の推薦文だ(と思う)。そのまま全文を紹介するわけにはいかないが、アルバムの宣伝推奨という意味で一部を下記に転記してみたい。

 「…松尾和子という一人の歌手が、歌手として生き、女として過ごしてきた全てを歌の中に注ぎ入れ、その五感を躊躇うことなく音の中に融け込ませた、そんな想いにもかられた….全12曲を聴きながら、いまさらながら歌手・松尾和子の価値を思わないわけにはいかなかった、というのが偽りのない感慨である。歌による正確な言葉の伝達・多くの若い女性歌手以上に可愛いい声を響かせる技巧など、彼女の芸はやはり長い歳月をかけて酸酵させた美酒の趣きである。快い酔いに身を委ねることの楽しさを味わわせてくれる歌手が少なくなっただけにこのアルバムの持つ意義は大きい」
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