しかしこうなるとやっぱり照ノ富士の気持ちを“忖度”したくなってくる。痛みに耐えてよくがんばったのは彼も同じ。両膝を痛めていて歩くのが大変なほどだったと、兄弟子の安美錦がブログで明かしている。たしかに千秋楽の2番は粘りを身上とする彼にしては実にあっさりとした崩れかただったし、前日の立ち合い変化も琴奨菊のぶちかましが膝にくることを恐れてのものだと思う。
「目に見えるつらさと目に見えないつらさがあるんだよ。表に出すか出さないかだけ」これはV逸後の照ノ富士の言葉。稀勢の里のケガは日本中が心配するけど、こちらのケガは誰にも言えない…そんなツラい気持ちを正直に吐露した彼なりの精いっぱいの日本語表現だと思う。とにかくまだ25歳と横綱・大関のなかでは群を抜いて若い照ノ富士、これからに期待。
土俵下に転落して悶絶した稀勢の里のことばかりが話題になってしまったけど、この一番、相手の日馬富士は実に素晴らしい相撲を取ったと思う。スピード感あふれる直線的な横綱相撲、安定感よりも一気の勢いを最優先、彼の魅力が最大限に発揮された一番だった。いまや盤石の感がする稀勢の里対策として、全力士への指針となるような取り口でもあったように思うし。
さて、こうなると気になるのは白鵬の存在。彼は千秋楽の熱狂をどこでどんな気持ちで見ていたのだろう(あるいは見ていなかったか)。なんだかまったく蚊帳の外に置かれたようになってしまったけど、このまま終わるわけにはいかないと思っていることだけはたしか。どちらにしても夏場所は誰もが手負いの状況を脱し、白熱の相撲が展開することをいまから楽しみにしています。
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