沖縄の孤島で独り生活する盲目の貝類学者、演じるのはリリー・フランキー。彼の出現以前はいったい誰がこのポジションを受け持っていたのかと、不思議に思うくらい強烈な個性でこのところの日本映画を引き締めているマルチな才人。その彼にとって15年ぶりの単独主演作。アメリカ人作家アンソニー・ドーアの同名短編小説、舞台を沖縄に置きかえて映画化。
孤島に流れ着いた正体不明の女性(寺島しのぶ)にまとわりつく奇病を、貝類学者が生きた貝の持つ毒によって治癒させたところから話は回りだす。後半には学者の息子(池松壮亮)も登場するが、ストーリーのなかでこの女性と行き交うことはなく、このふたりが物語における対比すべき存在として描かれていると解釈するのはちょっと深読みしすぎかもしれない。
後半にすすむにつれ、物語の流れとはあまり整合性のない抽象的なイメージショットが多用され、“観る側の想像力にゆだねる”という常套句をここで引用したくなってくる。あくまで主役は貝類とばかり、水中動物をふくめさまざまな種類の生体が大映しになるが、スクリーンから漂ってくるのは、潮の香り以上にその艶っぽくなまめかしい匂いのほうかも。
盲目の人間が孤島で独り生活し、しかも生きたままの新種の貝類を探すことなんてはたしてできるのか(“砂浜でダイヤモンドを探す”というベタな慣用句を想起する)、などと物語の基幹にかかわるヤボなことは言いっこなし。あくまで美しい映像美〜ファンタジーとして楽しむのがいいのかも。沖縄が舞台ということで、基地問題も折りこんでいます。
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