イラン現代社会の問題を見事にきりとった「別離」のアスガー・ファルハディ監督最新作。主演に「アーティスト」の新人女優役で自らもスターダムにのしあがったべレ二ス・ベジョ。今回の舞台はテヘランではなくパリの下町。離婚協議のため4年ぶりにイランからパリに戻ると子供たちと暮らす妻には恋人が。さらにその恋人にも衝撃の過去があり…。
じっくりじっくりと物語は進み、人間関係を把握するまでに少しばかりの時間を要する。そしてなかなか作品の全体像が見えてこない。アメリカ映画ならおそらく最初の15分で理解させてしまうつながりを、少しずつ小出しにされているような感じがして多少イライラもしてくる。このあたりはいかにもカンヌが評価した作品だなと思った。
フランス人というとよく個人主義などと言われるけど、ここでくりひろげられる人間活劇はエゴむき出しのいざこざ。彼らって「相手の立場にたって」とか「思いやり」という概念がないのかと思えるくらい、子供ですら自己主張のバトルの連続。日本映画ならば気持ちが和らぐキャラクターをどこかに設定して物語の鎮静剤にするのだけどそういう存在すらなし。
実に印象的なラストシーンを迎えて(ここで初めて音楽が響く!)、結局この作品は人間関係を把握するためだけの130分ではなかったかと思ってしまった。肝心なことは目の前のスクリーンで表現されることなく、セリフのやりとりを通じてこちらの想像力におもねられているような…。サスペンスという言葉で表現するにはあまりにも人間くさい作品でした。
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