本年度アカデミー賞最優秀作品賞に輝く実話をもとにした人間ドラマ。ニューヨークで自由黒人として暮らす主人公ソロモンが、いきなり拉致され奴隷として過酷な日々を過ごした12年間の記録。ギラつく太陽と砂ぼこりと泥、草いきれやコットンの匂い、そして黒人たちの身体をむごいまでに打つムチの音が、観終わったあとにいつまでも頭から離れない作品でした。
脇役陣にけっこう芸達者がそろうなか、思っていた以上に主演キウェテル・イジョフォーのひとり舞台。そして同じく奴隷役のルピタ・ビョンゴには最優秀助演女優賞の栄誉が。おそらくこれは“出演場面は少ないながらキラリと光る存在感”みたいなものが評価されたのだと思います(私はやっぱり「ネブラスカ」の強烈なお母さん、ジューン・スキップに一票を投じたいけど)。
そしてこの作品の製作者にも名をつらねるブラッド・ピットが最後のほうでちょろっと登場。オイシイところを持っていく“エエもん”の役になんだかなあとチャチャを入れたくもなり。まあこういう気持ちになること自体が、この作品はクスッと笑う場面が一度たりともない、全編シリアスでヘビーなものだということの裏返しでもあるわけです。
ムチ打ちや絞首、けっこうむごたらしい場面が続くのはちょっとツライけど、この作品を観たあとに現在上映中の「大統領の執事の涙」を観て黒人社会の現代史みたいな部分を把握すると、まだまだ断片的とはいえ我々日本人にはなかなかリアルに感じることのできない黒人解放の歴史がうまく伝わってきて、双方の作品がより輝きを増してくるのではなんて思いました。
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