4月8日BSテレ東の「日本歌手協会歌謡祭プレミアム」では、「同音異曲」を歌くらべと称した放送をしました。
同じタイトルなのに違う曲30曲、テレ東に残る映像がながされました。
好きな歌手だった神楽坂浮子の「十九の春」が流れたのがうれしかったです。刑部(おさかべ)方則は、神楽坂の人気についても触れていたのが印象的でした。
この番組を観ていて連想したのはやはりフランク永井の「同名異曲」がらみのことです。フランク永井の残した曲は存在するものは基本的にすべて聴いています。ヒット曲は多くありますが、他の人気歌手同様にレコードは売り出したが「売れなかった」曲も多数あります。またB面で取り上げられることもなく消えた曲も多数あります。だから、聴いてみてこんな曲を歌っていたんだ、と妙に感心したこと多々あります。
データブックを編纂中に、あれっ、これは?と気にした曲もいろいろあります。その中からいくつか紹介します。
まず「愛の讃歌」。何といっても岩谷時子訳詞の越路吹雪歌唱が圧倒的に有名です。1952年から歌い続けられています。この曲をフランク永井は、1961年「フランク愛を歌う」というアルバムで歌っています。単なるカバーでないのは、ビクターの作詞家であり訳詞家でもある井田誠一の詞です。
「愛の慕情」は八代亜紀の代表作で有名です。1980年の発売です。
フランク永井は人気がうなぎ上りで引っ張りだこだった1967年に、東海テレビ「ミュージック・カレンダー」主題歌として同名の「愛の慕情」を歌っています。だが、テレビ放送中だけだったようで、皆に知られてません。
1979年「異邦人」は久保田早紀の歌。この歌でいちやく名を上げました。だが、フランク永井はこのヒットの前、1968年に、なかにし礼作詞、鈴木邦彦作曲というヒットしてもおかしくないコンビの曲を発売しています。
ランダムになりますが、次は「Woman」。これはフランク永井が後年に、当時大人気であった山下達郎と皆が驚くタッグを組んで作ろうとしたアルバム1982年「Woman」の一曲です。フランク永井は当初そうとう意気込んで向き合い今でも人気の曲ができました。「夜のヒットスタジオ」でも披露して喜ばれました。
だが、山下の曲作りの尋常でない取り組みとさすがのフランク永井のリズムを合わせるのに相性が続かず、途中で計画を止めています。「愛のセレナーデ」と2曲だけ実現しました。
時が過ぎ「Woman」と題する曲は多数でました。ユーミン作曲1984 映画「Wの悲劇」の主題歌が薬師丸ひろ子歌唱。1992年には中西圭三も同名の曲で人気を得ています。
当時テープメディアの提供で圧倒的な名を馳せたPONYはビクターのフランク永井を起用して、意外にも新たな企画で歌わせることをやっています。カセットと8ミリでかなりの商品を手がけています。台湾版もでています。
このPONY「20PJ 0078 フランク永井ナイト・クラブで20曲」(台湾版「12SJJ 0073 フランク永井最新日本歌曲」)では「フランクの夢は夜ひらく」という曲を出しています。だれもがすぐに気づきますが、圭子の夢は夜ひらく(藤圭子/1970年)のフランク永井版です。
「追憶の女」というレコードは1957年「有楽町で逢いましょう」を発売した年にだした「街角のギター」のB面曲です。面倒なのは読み方が「おもかげのひと」ということです。この面倒さが足をひっぱってA面はけっこう知られましたが「追憶の女」はいい歌なのにイマイチです。
フランク永井自身は気に入っていて舞台ではよく歌ったようです。そして1963年に思い余り「追憶」として発売します。だが、これも結果的にダメだったようです。しばらくして曲の呼び方をもとの「おもいでのひと」に戻します。
フランク永井は1981年橋本淳作詞で「追憶」を発売します。B面には何と英語の歌詞を採用(「ゾーズ・デイズ・オブ・イエスタデイ」)するという異色のレコードです。
「黄昏のビギン」は著名な曲ですね。低音歌手と言われた水原弘の1959年のヒット曲です。これが1991年にちあきなおみのカバーで出ました。注目されたのはなにだったか忘れましたがCMソングで起用され、ちあきなおみがアカペラでこの曲を実に印象深く歌いあげていて、ちあきの歌唱力の高さを印象付けていたからです。
フランク永井は「たそがれのビギン」で1962年に発売していますが、もちろん異曲です。
最後に「旅愁」。皆が知っているのは西崎みどりが1974年、テレビドラマ「必殺シリーズ」第4弾『暗闇仕留人』の主題歌として平尾昌晃が作曲したものです。藤田まこと主演のこのドラマは、恐ろしいほどの人気で、何年続いたのでしょうか。
フランク永井は1963年に異曲「旅愁」を異才山下毅雄作曲作品を発売しています。山下は「七人の刑事」「大岡越前」を始めとするラジオ、テレビドラマ、アニメ、CMの人気大作曲家でした。
ちなみに、フランク永井の「りょしゅう」で忘れてならない作品は、後年1983年発売の「旅秋」です。なかにし礼作詞、吉田正作品。大人の旅をこれ以上見事に表現しているのは他に聴いたことがない。
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