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2025年12月05日19:17

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大江裕の「公園の手品師」はいかがだろうか

 NHK-BS「新・日本のうた」での一コマです。フランク永井の名曲「公園の手品師」を演歌の大江裕が歌いました。大江裕は私が注目している演歌歌手の一人です。
 大江裕については、彼が「さんまのからくりテレビ」で取り上げて以来、ずっと気にかけていた人です。当時から北島三郎にとことんあこがれ、何としてでも弟子になりたいと意志を打ち出すのですが、人格的に当時は子供で、もっと社会を知り、大人にならなきゃ夢を実現できないよということで、番組ではさまざまなことに挑戦させます。どれも、彼の意識とのギャップが激しくうまくいきません。
 それでも、最後は北島に接近し、何とか接点を見つけようとします。北山たけしを北島は最後の弟子としていたようなのですが、北島は大江のもつ可能性をどこかに感じて例外的に弟子を認めます。さんまの番組ではその後も大江を追います。彼は必至なのだが、業界の裏については無知ゆえに阻喪が続きます。それでも歯を食いしばって付いていく姿がけなげで印象的でした。
 しかし、歌が上手い。師匠北島の歌唱は、どっぷりとした演歌。特に、星野哲郎が詞を作り、船村徹が曲を作る。奥行きの深い詞に北島はトコトン入れ込み、船村のメロディの表現したい情景を見事に声で聴かせる。演歌の勘所を見事に表現する。日本的な演歌の世界で、彼の歌唱はトップといってよいでしょう。
 ところが大江は師匠が凄まじい苦労と努力で得た演歌の勘所を、天才的に見事に体得している。この辺りを北島は感じたのかもしれません。北島は自分が歌唱をするときに、聞く人の感じ方をも十分に心得て歌っています。大江はそこが経験的に師匠には遠く及ばないものの、歌い手としての演歌のポイントを良くつかんでいます。
 大江の素晴らしい天分の一つは、恐らく北島をこえる音域の広さです。低音から高音まで他の歌手にはちょっと及ばない、すごいものを持っています。
 この大江がフランク永井の「公演の手品師」に挑戦したのにはびっくりでした。というのは作曲した吉田正の曲は、演歌ではないからです。「公園の手品師」は宮川哲夫の作詞です。吉田正はこれ渾身の精魂を打ち込んで、いかに詞のニュアンスをメロディにするのかを挑戦したものです。曲がヒットするしないではなく、曲としての完成度を追求するものでした。ゆえに、この曲は日本の四季の秋を表現した普遍的なものになっています。だから、どの時代で聴いても日本の秋の情緒が感じられます。常にフレッシュな曲になっています。
 鶴田浩二に彼の映画の挿入歌で歌わせたのが最初です。吉田は門下生に練習曲としても歌わせています。吉田の基準をクリアしたのはフランク永井でした。ソフトな声、流れるようなメロディ。気負いのない、こころ安らげる歌になっています。他の歌手によるカバーはいくつもありますが、吉田正の目指した「公園の手品師」をフランク永井以上に歌ったのを聴いたことがありません。
 大江の「公園の手品師」も演歌的な力みがところどころに漂っています。
 さて、再び大江に戻ります。最近彼は「歌の流し」ならぬ「なみだ歌師」を自称する活動をしているようです。youtubeで見たのは吉祥寺の居酒屋を訪ね、客に「聴いて思わず涙してしまう曲」をリクエストされそれを歌って聴かせるというものです。流しと同じで歌唱力が問われる活動です。大江の歌唱力が発揮しています。
 大江の歌唱力で特筆することがあります。それも最近に知ったのですが、歌マネです。歌マネ番組で、他の強豪を一気に押さえて、40点満点で優勝しています。北島を含む何人かの歌手の歌を一気に歌うのですが、見事というしかないできでした。
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