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2024年06月12日17:45

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「明日を綴る写真館」〜静寂とピアノの響き、そしてシャッター音

平泉成80歳にして映画初主演作品、写真をめぐる家族と夫婦の物語。新進気鋭の若きフォトグラファー太一(佐野晶哉〜Aぇ!group)は、ある写真展で1枚の作品に魅入られる。撮影したのは地方都市で写真館を経営している鮫島(平泉成)。太一は目の前のすべての仕事をキャンセル、その寡黙で頑固な老齢の男に弟子入りを申し出る。

けっこう時間を要する最初のセリフまでに、観る側は想像力を駆使して状況設定を把握する。基本的には静寂が多くを占めるなか、終盤の劇中バンド演奏シーン以外は美しいピアノの響きだけが全編を貫く(演奏はジャズ・ピアニスト大林武司)。陽の光が降り注ぐ”逆光”のアングル多用、さらにシャドーがかった柔らかい肌合い。

すくなくとも初めのうちは鮫島も太一も寡黙。それを破るのはシャッター音のみ。前半部分の遺影撮影依頼の男のくだりや、旧い家族写真を遠くまで届けるエピソードを交えながら、”写真とは何か”つまり技術的なものをからめたカメラマン修業に重きをおくのかと思っていたら、終盤には家族愛・夫婦愛に舵を切ってしまったのはやや残念。

ぶっちゃけ平泉成は思ったほどの主演にあらず、やっぱり佐野晶哉の作品かなと。ともあれ全体に漂うリリカルな空気には好感、なのでヘンに脇を固める豪華俳優陣を謳うよりも、あえてもっと地味に抑えて”小品”としたほうが味わいがさらに増したような。ことしの邦画を代表するとはいかないまでも、隠れた秀作と言っていいと思います。




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