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2024年06月08日16:00

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「あんのこと」〜すぐそこにあること

香川杏(河合優美)は小学生のときから不登校、母親のDVが重なり21歳のいまでは麻薬と売春の常習犯。荒んだ生活が続くなか、彼女は破天荒ながら人情味あふれる刑事・多々羅(佐藤二朗)と出会う。彼はヤク中からの更生サークルも運営、先の長い杏の人生に光を灯してゆく…。監督は「AI崩壊」など娯楽作が多かった入江悠。

粗野なふるまいも見せながら杏を思いやる多々羅。やがて雑誌記者・桐野(稲垣吾郎)が登場、そこまであまりにもやるせない描写が続いていたので、彼の存在(というかキャスティング)はある種の緩和剤、そして三すくみの展開が始まるかと想像。ところがとんでもない事実が発覚しこの三角形はあっさり崩壊、物語は迷走を開始する。

これまでさまざまなタイプの若き女性を演じてきた河合優美。今回は堕ちきった少女から、ほのかな明かりがみえる更生の過程、そして波乱の結末までを見事なグラデーションで表現。年始のTVドラマで思わぬブレイクもあったけど、ここまで多くの秀作映画のなかで脇を固め、光を放ってきた彼女の魅力がこの作品で一気に花開いた印象。

現代の日本社会とりわけ2020年以降のコロナ禍が大きく横たわり、他人事ながら他人事と済ませるわけにはいかない哀しい物語。さらに主人公・刑事・雑誌記者あるいは周囲、非があるのはいったい誰なのかという問題提起。舞台となった東京の街にはこの4月に訪れたばかり(ファーストシーンですぐ判った)生々しさが実感できました。
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