ジャンルを越えて日本のポップス史にその名を残す音楽家・加藤和彦。数々の名曲を残すとともに、最先端・最高級のライフスタイルを表現してきたアーチスト、貴重な証言をもとにその生涯を追ったドキュメンタリー。時代とともに移りゆくその表情、観る側の数だけ”トノバン像”あり、こちらやはりミカバンドあたりから前のめり。
すでに亡くなったひともふくむ多くの証言、それぞれの時代にもっとも近くにいた人の言葉がやはり興味深い。60年代であればきたやまおさむ、70年代中盤までは新田和長(音楽プロデューサー)。ただ70年代終盤以降にはそこまでリアルな発言が聞けず、それは加藤和彦の存在が他人の手があまり届かない域にまで達したということか。
個人的にはミカバンド解散以降のソロ活動、テレビ番組出演時の映像各種が新鮮だった。時系列で彼の歩みをたどりながらも、その音楽が完成の域に達したあたりで物語は一応の区切り。実際にはそのあとさらにもう一本映画が作れるぐらいの〜ある種の原点回帰をふくめ、多くの人脈を束ねた〜多彩な音楽活動が待っているのだけれど。
メガホンを取った、というか企画・構成・プロデュースのすべてを担当したのはこれまでも多くの優れた音楽映像作品を制作してきた相原裕美。過去の監督作品が「音響ハウス」そして「SUKITA」という非常に興味深い対象をとらえたものだけに、これからはどんな素材に挑んでいくのか、この秀でたクリエイターからも今後は目が離せません。
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