2023年12月4日の放送です。最近になって撮っておいたビデオを再生して楽しみました。
定着したフォレスタの長期番組です。「名曲の匠〜佐伯孝夫・吉田正〜」ということで、フランク永井の師匠吉田正、そして日本を代表する作詞家である佐伯孝夫の作品を歌うということで、期待を持って鑑賞しました。
この番組で歌われた曲は次の通りです。
アルプスの牧場(元唄灰田勝彦) 野球小僧(元唄灰田勝彦)
有楽町で逢いましょう 東京カチート 潮来笠(元唄橋幸夫)
霧の中の少女(元唄久保浩) 江梨子(元唄橋幸夫) 再会(元唄松尾和子)
寒い朝(元唄吉永小百合/和田弘とマヒナスターズ)
若い歌声(元唄橋幸夫/吉永小百合)
フランク永井の曲は2曲でした。
フォレスタは音楽大学出身の代表的混声コーラス・グループ。かつて、ダーク・ダックス、ポニー・ジャックス、デューク・エイセスといった男性コーラスグループがあり、ファンを楽しませていました。女性コーラスもありましたが、詳しくないので省略します。
最近は男性コーラスのベイビーブー、純烈といった男声の歌謡コーラスがテレビで活躍しています。
コーラスグループはいずれもハーモニーが利かせどころですね。そしていずれも共通しているのは楽譜への忠実な歌唱があります。
学校での音楽教育は、発声が大事で、クラシック的な正統な歌唱が教え込まれます。それから外れると、のどを痛めたりするだけではなく、基本的にコーラスになりません。
ただし、大衆文化的にみると、大学での音楽法は、歌を気楽に愉しむ傾向に強い一般大衆には、やや趣が異なります。平たく言えば「楽譜一辺道の歌唱はおもしろくない」「味がない」と、偉そうに言うわけです。
だから、フォレスタの歌唱が楽譜的に満点だとすると、歌謡コーラスのベイビーブーは少し「歌謡曲」寄りになっています。さらに純列はさらに「歌謡曲風」になっています。ムード歌謡コーラスというくくりにもいくつかの著名なコーラスがあります。和田弘とマヒナスターズに代表されるコーラス・グループは、ハワイアン風の裏声を使った歌唱を行い、一層特定の世界の表現に傾いています。
個人の歌謡曲歌手となると、そこはもう個性の世界で、楽譜に忠実に沿いながらもこぶし、しゃくり、ビブラートだと、さまざまで微妙なテクニックが入り放題です。それは、あくまでも大衆文芸ということで、いかに一般大衆に目を向けた歌唱であるかを競うことになります。楽曲としての一つの作品、トータルとして大衆の琴線に触れて、いいな、という印象を得たら成功とされます。
ただ、どのレベル、どの分野の歌い手であっても、歌の最低の基本的な知識と技能の上に成り立っています。演奏家も同じです。ここが、素人との決定的な違いでもあります。ただの歌好きとの相違です。「ただの」というのは、歌の理論的な土台を踏まえずに、歌がただただ自己満足的に好きというものです。
カラオケ大好きは歌好きです。歌がプロ並みという人たちもいます。テレビ番組「カラオケ・バトル」出演者などはプロ並みに近いですね。また毎年開かれている「フランク永井歌コンクール」というのがありますが、ここで高位の入賞者の幾人かはプロ並みです。特に今年3月の決勝では目立ちました。
日本語の歌唱では活舌は欠かせません。これは歌う自分ではなく、聴く相手にとって、これの切れの善し悪しは、歌の印象効果が圧倒的に違います。活舌は日本語の正確な発生ということで、音の高低やだみ声とかとは異質なものです。
歌コンでは演奏は本人が用意したカラオケ演奏です。テレビを観ていても、演奏会に行っても、演奏を聴いているといつも感心するのですが、演奏者は発声や歌唱は表に出ることはないですが、音楽についての基礎的な知識の技能は絶対的な条件だということが分かります。
基本的なことというのは、時間軸で言えば、� ̄藾嫗�度、��音程と半音上がり下がりは最低でしょう。楽譜の最初に速度標語が「♩=77」とかの表記で指示されています。1分間の拍子ですが、これがメトロノームがなくても、指揮者の合図があろうとなかろうと、頭の中で正確なリズムが流れていて、完ぺきにそれに照らして楽器を奏でる技術ですね。
さまざまな楽器がピッタリと息を合わせて進行できるのは、まさにこの能力があるからです。これは絶対音感に似ている必須の能力で、一般の人である私なんかには、ほとんど時計や機械のような神業に見えます。
楽器の演奏と、歌い手が共通に同じ知識と能力を持ち合わせているがゆえに、楽曲が成立します。
楽譜では作曲家が、テンポを一時的に緩めたり速めたり自由に(ルバート)、あるいは通常よりも長く、一定の音または休止を持続させる(フェルマータ)を書き入れていたりするので、演奏の指揮者やバンドマスターは、これを正確に判断して演奏します。実演奏の前にリハーサルを必ず行いますが、このあたりのタイミングをすべての楽器演奏者と歌手と合わせるためです。
余談になりますが、美空ひばりはテレビ番組の実演で、時間が少し足らなくなったことをディレクターから伝えられると、指揮者に瞬時に合図して、「♩=77」から「♩=75」に速度を落として、放送時間にピッタリ合わせたというエピソードも残っています。
フォレスタの歌を聴きながら、そのようなことを思い浮かべました。
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