パンデミック下の2020年末からスタートする実話ベースの物語。マサチューセッツ州在住、ごくふつうの会社員キース・ギル(ポール・ダノ)にはもうひとつの顔。彼は“ローリング・キティ“と名乗り、Tシャツすがたで定期的にライブ配信、有望株を全米の個人投資家たちに推奨し続けるカリスマインフルエンサーでもあったのだ。
物語は幕開けから小気味よく進む。キースの支持者というべき若き個人投資家たち、そしてウォール街のミリオネアたち。すべてがネットを中心に回っている世界なので、全米に散らばる彼らが遭うことはほぼ無し。ようやく人間関係を把握したかと思うまもなく今度は株や投資の専門用語が飛びかい、観る側は置いてきぼり寸前になる。
そう、金融関係の知識がなくても十分に楽しめる展開なりと随所で前宣伝がなされていたが、スリリングな場面やカタルシスを得るような局面に接したりするたびに、その手の専門知識には詳しければここはもっとリアルに味わえたはず、ジョークひとつとっても本来もっと深い意味があるではという気持ちのほうが正直なところ上回った。
この事件は当時毎週聴いていたラジオNIKKEIのDJ北野誠による経済番組で語られていた記憶あり。モデルとなった人物を詳しく知らないが、ポール・ダノはまさにハマリ役のような。巨額マネーをめぐる丁々発止のやりとり以前に、コロナ禍におけるリアルな現代アメリカ社会を俯瞰的に映し出した、興味深い作品だと思います。
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