編者の岸政彦氏はリアルな大阪の書き手。もともとは社会学者ながら小説を書けば芥川賞候補にも。そんな氏によるフィールドワークの結晶というべき大作がこのたび刊行。大阪人150人の語り口調による2段組・1280頁・150万字の大ボリュームは筑摩書房から。とりあえず表紙をめくるとトップバッターの発言に目が吸い寄せられた。
『どこでやってんのって聞かれて昭和町っていうたら友達にめっちゃ笑われたみたいなんですよ。「難波とか南とか北ちゃうん! どこやねんそれ!」みたいな』
・・・というリードあるいは小見出し。ツカミが我が町とは!辞書のように重たい書を抱えて読みすすめるうち、お店や学校の名前等々そこで語られている町並みは、すべてウチのマンションから半径500メートル圏内のものばかり。語り手は私より5〜10歳程度年下の女性。生まれも育ちももちろん昭和町、勤務先に貝塚が登場。
ひょっとして彼女はご近所の知り合いMさんかも。年齢的にはズバリだし、たしかお仕事も・・・やがてそうではないとわかったけど、それにしてもウチのごくごく近所にフォーカスしてこの大書が始まるとは。ページをめくっていけばいくほど、ウチの町が他にくらべてさほど特徴や個性に満ちているわけではないと感じてくるのに。
そう、言いかえればそれだけ残り149人の語りがリアルであふれているということ・・・などと言いつつ立ち読みにてパラパラ見ただけ、本来ならこの4950円をしっかり購入して少しずつでいいから読み進めていきたいけどなかなか。とりあえず関西の書店ではまだ平積み期間、まずは手に取ってボリュームを感じてみてください。
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