フリーター・ユリ(馬場ふみか)は家族との諍いから逃れて転がり込んだ。女性に貢がせて生計を立てる紘(東出昌大)は過去をいっさい語らない。ぶっきらぼうな振る舞いしかできない日雇いガテン系の鉄平(倉悠貴)。人間味にはあふれるも怪しげな商売を営む友三(笹野高史)・・・。安アパート「コーポ」ワケあり住人たちの群像劇。
まずはその象徴というべき建造物を遠景でとらえ、この物語は大阪・下町を舞台にしたせいぜい半径1kmのあいだで織りなす人情劇であると知らしめる。ただ実際のロケ地は広範におよんでいて、横浜の野毛あたりも映っていたような気がする。「コーポ」は玄関で靴をぬぐ、風呂なし・共同トイレ、廊下をはさんで10室程度の集合住宅。
4人がそれぞれの物語を抱えていて、ほぼ並行的に描いていくが思ったほど深くは掘り下げない。せいぜいユリの家族、そして鉄平の職場を通したふれあいに起伏があるが、ユリの母親(片岡礼子)も、鉄平が恋心を抱く女子大生(北村優衣)も類型的なキャラ造形で、ヘンな表現だけど”どことなく芝居がかっている”ような印象をあたえる。
そう、生活感にあふれすぎたリアルな設定なのに、どこか浮世離れしたファンタジー感が終始漂っている。4者の物語はけっして交差せず、思いもよらない展開が待っているわけでもない。観る側はこの物語からヘンに教訓をもとめる必要もなく、ただただ続いていく彼らの日常に身を委ねることが心地よい味わいかたではないかと思った。
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