優しくユーモアにあふれた作風、3年前94歳で天に召された画家・絵本作家・装丁家のユニークな世界。おなじみの作品をひとつ挙げるなら井上ひさし著作のカバーイラストかも。安野氏存命中に企画されたもののコロナ禍によりいったん中止、ようやく開催の運びとなった今回。したがって安野氏による”ごあいさつ”が最期のメッセージに。
やはり”柔らかく優しいエッシャー”というべき前半のだまし絵作品群が興味深い。このメルヘン的世界にハマって、絵画の面白さに目ざめた子どもたちも多いのでは。そしてデンマークを中心とした穏やかなタッチの海外紀行スケッチ。トシを重ねるにつれて作風がだんだんとリアルになり、晩年の「繪本 三国志」でのスペクタクルは圧巻。
私にとって安野氏といえばエッセイ集「算私語録」シリーズ。もともと理系雑誌に連載されていた数や図形にまつわる日常的かつささいな発想の数々。エッセイというよりもごく短い文章(その分量はSNS時代のツイートにふさわしい!)の連なりには30年以上前にどハマリ、今回は絵画作品が中心なのであまりふれられてなく残念。
出生地・津和野町立安野光雅美術館所蔵のコレクションが中心。ひとつひとつはけっして大きくはなく、繊細なタッチの作品が多くを占めているので、あまり混まない時間をねらってできるだけ至近距離で鑑賞したほうがよろしいかと。ゆったりのんびり、穏やかな気持ちになることまちがいなし。会期は11月12日まで。
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