幕末の世、江戸下町のはずれで生きる若者たち。汚穢を買って農家まで運ぶ苦役に従事する矢亮(池松壮亮)は、紙くず拾いの中次(寛一郎)と雨宿り。そこへやってきたのは寺子屋で子供たちに読み書きを教えるおきく(黒木華)。お互いの身を案じながらも3人は心を通わせていく。ほぼ全面的にモノクロ作品。監督は阪本順治。
いきなり肥たごにあふれる汚穢(人糞)が大写し。どうだカラー映像だったらマトモに見れないだろうという作り手の宣言か。さらにその先制攻撃を受け入れざるえない場面が随所に、それはまるで主人公は人糞だと言わんばかり。とはいえ人肥運びは当時の庶民を支えた仕事、江戸〜下総の地名がいくつか登場、苦役の距離感がリアル。
矢亮と中次の軽妙なやりとりはまさにいま令和の若者風。意図的に織りこみ、物語全体のアクセントとしてちりばめてあるのか、あるいはセリフのなかにまでも”くそ”で始まる現代語を多用したかっただけなのか。まあこちらふだんはほとんど時代物を観ないので、会話がすんなり入ってきてくれたことにはありがたく思っているけど。
あるつらい出来事によって、おきくがハンデを背負うようになってからがこの物語の根幹部分。矢亮と中次そして周辺の市井の人々ばかりに目を奪われ、もっとおきくに感情移入すべきだったか、そして彼女の目を通した”せかい”という言葉のイメージを探るべきだったかとちょっぴり反省。江戸末期庶民の人間模様、魅力的な89分でした。
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