2000年代の初頭、イラン第2の都市マシュハドでは、”街を浄化する”という犯人〜スパイダー・キラー〜の声明とともに、16人もの娼婦が自ら巻くヒジャブによって絞殺されるという連続殺人事件が起きた。女性ジャーナリストのラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)は、さまざまな周囲からの圧力にもめげず事件を追っていった…。
これが実際に起きた事件をもとにしているというから驚く。その驚きの主因はけっして大量殺人そのものではなかったと、物語が進むにつれてゾクゾクする恐ろしさに包まれてくる。いわゆる謎ときの要素はすくなく、ラヒミの果敢な行動によって犯人の実体は割と早いうちに露わになるが、この物語の本領はここからと言っていい。
”街を浄化”という犯人の名目におもねたい部分もあるのか、警察はまともに動こうとせず、本来毅然たるスタンスを取るべき司法の側もはっきりしない。そして一般市民からは犯人を英雄視するような空気さえも。すべては女性蔑視〜イスラム社会がゆえに成せるわざなのか。さらに米同時多発テロ直後という時代背景も加味される。
判決の結果にいたるまでの終盤の展開は、これまでのどの連続殺人者ものとはちがった衝撃。監督は「ボーダー 二つの世界」のアリ・アッバシ、英題は”Holy Spider”。正視できないむごい場面もいくつか、実にヘヴィーな内容だったけど、きっちりペルシャじゅうたんが小道具として機能していた部分には思わずニヤリとしてしまいました。
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