エヴリン(ミシェル・ヨー)は存続危ぶまれるコインランドリーの経営者。いささか頼りない夫、気が強くわがままな娘、ボケが始まったガンコな父親とともに、せわしない日々を過ごしている…などという設定はさておき、その先に観る側が体験するのは、奇想天外のはるか上をゆく、不条理ばかりがまかり通る魑魅魍魎の曼荼羅世界。
全体像がぼんやり見えてきたとき、うわ、このままこのカオスに139分付き合わされるのかとやや滅入るも、いつのまにかそのめくるめくテンポに馴らされている自分に気がついた(ただハマったとか心地よいとかはけっして言えない)。そしてそのテンポの原動力はカンフーファイティング。小気味よいアクションが縦横無尽に展開。
来週末のオスカー授賞式、最優秀主演女優部門で最有力候補のミシェル・ヨー。今回の彼女には熱演とか怪演というよりも、ただただお疲れさまという言葉を捧げたくなり。個人的にはアウンサンスーチーを演じた2012年「The Lady 」(ウチの父親(当時83歳)が劇場で観た、現時点で最後の映画作品)での彼女がもっとも印象的。
もし”劇映画”という概念のない世界があったとしたら、その世界のアニメーターとゲーム製作者と映像クリエイターと劇作家が集い、初めて創りあげてみた長尺動画という印象。観終わったあとには、違和感のある邦題は論外、この長いタイトルこそこの作品にふさわしい、これ以外に何があるのとつくづく思った次第です。
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