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2023年02月24日16:00

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「エンパイア・オブ・ライト」〜海辺の砂の城

1980年代初頭、イギリス南部の海岸沿いに建つ映画館「エンパイア劇場」、売店係として働く中年女性ヒラリー(オリヴィア・コールマン)は、支配人(コリン・ファース)のセクハラに悩まされながらも淡々とした日々を過ごしている。そんなある日、若き黒人男性スティーヴン(マイケル・ウォード)が従業員のひとりに加わった…。

ふだん寂れた映画館には数少ない機会、著名人も多数招待されたある名作英映画(もちろん当時は最新作)の大規模試写会がヤマ場のひとつとして用意されているものの、ヒラリーとスティーヴン、お互いの過去を少しずつ露わにしながら、ふたりのあいだに横たわる距離感を、それぞれの立場でじっくりかみしめていくのが味わいどころ。

1980年前後の英米名作映画が多数登場、物語のテーマに関係する当時の先鋭的なUK音楽状況もふんだんに、さらにサッチャー政権下における当時のくすんだ政治・社会状況がストーリーにきっちり反映。最初はキャラにバリエーションを持たせただけかと思われた従業員たちが、後半にはきっちりと配合されたスパイスとして効いてくる。

寂れた海辺におけるふたり、なにもないシンプルな設定から始まるも、終わってみればそこにはすべてがそろっていたような感覚。同じく映画の世界を描いた「バビロン」とはまったくの真逆とは言いすぎか。どちらにしても”映画を愛する映画”の名作がここにまたひとつ、あたたかい気持ちに包まれたエンディングとなりました。
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