パク・チャヌク監督、2016年「お嬢さん」以来の最新作。入国管理官を地道に務めてきた男性が絶壁の頂から転落死。これは事故あるいは自殺にあらず、他殺の可能性ありとにらんだ刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、男性の中国人妻ソレ(タン・ウェイ〜湯唯)に疑惑の目を向けるが、彼女にはしっかりとしたアリバイがあった…。
いまさら書くことでもないと思うが、単なる謎解きミステリーにあらず。事件がひと段落したかなと思わせるあたりから、本来なら刑事と被疑者の関係にあるヘジュンとソレのあいだに、少しずつ漂ってくる妖しい空気がなんとも言えず、観る側はヘジュンとともに、官能的な魔性の女ソレの行動にほんろうされることになる。
我々にはわからないが、ソレの話す中国訛りの韓国語が、彼女の魔性っぷりにかなり貢献しているらしい。またいくつものスマホが、韓国語⇆中国語の翻訳機能のみならず、助演賞なみに随所でキーアイテムとして登場、いつもながら韓国映画は思わせぶりな小道具の使いかた、そしてそれらをとらえるカメラワークが巧いなと唸ってしまう。
シネコン上映ながら、それほど万人受けする作品ではなく、観るひとを選ぶような気がしないでもない。ヘジュンとソレの距離はあやふやなまま進み、ここを忍耐力との戦いととらえるか味わいどころととらえるか。この様相はしばらくぶりかなと感じるラストシーン、タイトルの意味を重く噛みしめる壮絶な結末が最後には待っています。
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