映画監督への道をあきらめた近藤猛は、若き日の思い出あふれる銀平町に帰ってくる。借金を背負った彼をアルバイトとして雇ったのは、地元の映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原だった…。寂れゆく地方都市の映画館を舞台にした群像劇。監督は「アルプススタンドのはしの方」「愛なのに」の城定秀夫。脚本にいまおかしんじ。
いきなりホームレスを食いものにする怪しきNPO組織が登場、ああこれは現在の貧困問題に先の見えない映画館経営をからめつつ、社会の低層部を照らし出す作品なのかと、最初はちょっとカンベンという気持ちに傾いた。ところがやがてひょうひょうとした空気が全体に漂いはじめ、それに合わせて映画愛もにじみ出る物語となった。
この空気を作り出した最大の要因は支配人・梶原(吹越満)。厳しい状況のなか、けっこういいかげんなキャラながら、猛(小出恵介)たち周囲の人間へのそして映画への愛を忘れない男性像。さらに映写技師役として渡辺裕之のすがた、これが遺作かと思いきや、ことしもう一本出演作が待機。あの旅立ちはやはり突然だったのかと。
あと、さとうほなみ(ゲスの極み乙女のドラマーほな・いこか)、藤田朋子、片岡礼子といった脇を固める大人の女優陣が妙に魅力的。あまり期待しないところから出発したせいか、ややクサさぶくみもありとはいえ、徐々にあふれる映画愛には思わぬ拾いもの感あり。多作の城定監督、いまや安定感あるアベレージヒッターですね。
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