コロナ禍まっただなかの2020年、都内バス停で寝泊まりするホームレス女性が何者かに殴打され殺されるという、実際にあった事件をモチーフにした社会派作品。昼はアクセサリーデザイナーの職につきながら夜は居酒屋でパート生活、ところがコロナ禍が襲来、すべてを失ってしまった主人公・三知子役に板谷由夏。監督は高橋伴明。
それまでの人間関係にも多少問題があったとはいえ、コロナ禍によって生活環境は一変、一気にホームレスに転落してしまった三知子。もうちょっとどうにかならなかったものか。その誇りやプライドが邪魔をしたとの説明があるとはいえ、これはいくらなんでも急展開すぎる…この部分がこの作品最大の論点になるなと最初は思っていた。
ところが終盤にある人物が登場、物語はさらに思いもよらぬ方向に舵を切ってしまう。加害者の側も描きながらこの事件をセミ・ドキュメンタリー的に掘り下げていくのかと思いきや、”全共闘世代(≒高橋監督世代)からのメッセージを聞け!”みたいな方向へと大きくブレてしまい、まったく意表を突いたエンディングを迎えてしまった。
とはいえ中盤までの、令和社会の実情を描いた部分はリアリティにあふれ興味深く、根岸季衣・筒井真理子・片岡礼子・ルビーモレノ(←いろんな意味でせつない)といった助演女優陣も好演、そして柄本明と佑がいかにも両世代を象徴したキャラを親子競演。終盤の展開に是非があるも、まず観るべきは為政者だと強く言いたい作品です。
ログインしてコメントを確認・投稿する