ローマ市内の高級アパートメントに住む3家族。仕事場と住居を兼ねる1階の夫婦は幼い娘を向かいの老夫婦に預けている。2階に住む女性は夫が長期出張中、お産のためひとり病院へ向かう。飲酒運転に喧嘩沙汰、息子に手を焼くのは3階に住む裁判官夫婦。「息子の部屋」「ローマ法王の休日」のナンニ・モレッティ監督最新作。
真夜中の静寂を破って、いきなりあるコトが目の前の路上で起きる。おそらくそれまでは別々の日常を過ごしていただろう、この3家族が一気につながる。この唐突感が好奇心を引き寄せ、巧いツカミだなと観る側は感心する。それぞれが問題を抱える3つの家族は、このあとどのように絡んでいくのか、それとも絡まないままなのか。
ささいな誤解や妄想が生んだほころびが大きな軋轢を生んだり、平穏な日々を打ち破る諍いが思わぬところからもたらされたり、地位や名誉に執着する歪んだプライドが対立を生んだり。赤ん坊・幼女・少女〜無垢な子どもたちがピュアネスを発揮することによって、大人たちのエゴがよけいに醜くむき出しになってしまう。
時間の経過を重ねつつも基本的には現代の物語。ただスクリーンの色調やセリフのやりとりが(字幕の訳のせいか、それともかの国特有の大仰な感情表現か)、どこかかってのイタリア映画を観るような感触。めくるめく結末が用意されているわけではないけれど、3家族の行く末に思いを馳せると、じわじわとした感慨に出逢える作品です。
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