フランスのある地方都市、家族とのあいだに何かがあり、決心したかのような主人公の女性クラリス(ヴッキー・クリープス〜「ファントム・スレッド」のヒロイン)は家を出てクルマを走らせる。ところがこのあとしばらくは彼女をとりまくさまざまなシーンが断片的に入れ替わり、時系列や人間関係を曖昧にしたまま物語は進んでいく。
これらの断片はクラリスの回想なのか夢の中なのかそれとも意識の流れなのか…。観る側は落ち着かないまましばらくは忍耐力を動員する。やがて全体像が見えてくる気もするが、爽快感が最後に用意されているわけでもなく、もやもやしたままエンドロール、こちらの理解力に甘さがあるのではないかという気持ちも芽生えてくる。
たしかに“彼女に何が起きたのか、映画を見る前の方には明らかにしないでください”という、俳優としても活躍するマチュー・アマルリック監督自身の言葉がチラシのコピーとなり、あるレビューには“何かを書こうとするとネタバレになる”との一文。さらに公式HPには「映画鑑賞後の方だけに」という言い訳めいたページ。
つまるところは家族の喪失と再生をテーマにした物語ということになるのだろうけど、シャラマン監督作品のような明快なエンタメ性で観る側を納得させる結末が待っているわけでもなく…。ちょっとやっかいなモンタージュの連続だったというのが正直な印象、テーマソング的存在に米国発の渋い楽曲が選ばれていたのは意外でした。
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