キャリア30年、捜査一課の刑事・成瀬(阿部寛)は武骨そのもの。コンプライアンスを重視する警察上層部にとってやっかいな存在の彼は、強引な捜査そしてパワハラがすぎるという内部告発もあり広報課・警察音楽隊への異動を命じられる。「ミッドナイト・スワン」(一昨年邦画 My 1位)と同じく内田英治監督によるオリジナル脚本。
認知症の母を抱え、高校生の娘とも諍いを重ねる日々のなか、言い渡された異動先は完全なる存在否定。どん底の状況にある成瀬にとって、音楽隊でのドラム奏者はとうていなじめない環境。いかにして彼は前向きとなるのか、そしてそのモチベーションはいったい何なのか、移りゆく彼の心情をじっくりと描き観る側の興味をつないでいく。
ヤリ手刑事としての日々を完全に過去のものとはせず、音楽隊としての活動のなかに捜査中の事件解決を巧みにからめる、クライマックスに至る構成は実に見事なアンサンブル。ただ物語の最終盤あたりはやや端折った印象もあり。ばらまきすぎたかと思えるエピソードの回収は、粗っぽいままで終わったような気がしないでもない。
英映画にも仏映画にも同じようなコメディ寄り作品あり。ただ組織の上下関係、SNS特有の風土、親の介護問題など、イマの日本社会に即した側面に接するとやっぱりリアリティを味わう。さらに今回のヒロインというべき春子(清野菜名)の凜としたたたずまいには、あらためて日本女性の素晴らしさを感じさせられた次第です。
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